第1話「能力消失」
……!?
な、なんだこの感覚は……
ここを燃やしてやろうとして、自分の手に炎を発現させたら、いつもとは比にならない痛みを覚えた。
炎は徐々に燃え広がっていく。
このまま自分の炎に焼かれていると「死にそう」になる……!
……今まで何回死にたいと思っただろうか。
何度こんな退屈な世界からいつになったら離れられると思ったか。
……そのチャンスが、ここにある。
いっそ、ここで死ぬのも悪くはない……か……
さらばだ、憎き月。
そして、ありがとう。
私は自分の炎に身を預けた。
ようやく死ぬ事が出来る……
と思っていた矢先だった。
バシャアッ!
突如、頭上から大量の水が降りかかってきた。
妹紅「!?」
私は驚いたが、既に身体は大火傷を負っており、そのまま地に伏した。
すると、私に水をかけただろう奴が、私の元へとやって来た。
「そこの貴方、大丈夫?随分燃え盛っていたけど。」
私は返事をする気力すら無かった。
「……死んでは無いようだけど、酷い傷だねえ。さて、どうしようかなあ。」
そのままほっておいてくれ。と、私は心から念じた。が、その望みは届かなかった。
「私の能力で、薬草でも生み出せば直るかなあ。まあ、事は試しっと。」
そう言ったのを聞くと、何やら横から音が聞こえる。少し経つと、再び水をかけられた。
「神の水、薬草入り。これで何とかなるでしょ。」
神……か。水や植物などを扱う神と言えば、確か守矢の神だったかな。蛙の方の。
しかし、本当に効くのか?この神の水とやらは……
……ん?痛みが消えた?そんなバカな。あの大火傷が本当に治るとは……。
私は起き上がり、目を開いた。そこには、私が予想した通りの神がいた。
「あ、起きたー!よかったー。」
嬉しそうな表情でこちらを向く。とても本音を言えそうに無かった。
妹紅「お前は……確か守矢の……」
「お、知ってるんだね。これも信仰が広まって来た証かなー。」
妹紅「……知らん。」
私がそう言うと、守矢の神は少し顔をしかめたが、すぐに笑顔になって、
「私は洩矢諏訪子。よろしくねー。」
と、自己紹介をしてきた。
妹紅「……藤原妹紅だ。よろしく。」
私も自己紹介をした。すると、諏訪子がすかさず話し始めた。
諏訪子「しっかし、よく燃えてたねえ。あれはどうしたの?」
妹紅「私の炎でここを吹き飛ばそうとしたんだが、どうも不死の能力を失ってしまってるみたいなんだ。」
それを聞いた諏訪子は、大層驚いた様だった。
諏訪子「ええっ!?能力が失われた!?おかしいなぁ、私の能力は普通に使えたんだけどな……あれっ?」
諏訪子は能力を発動しようとしたようだったが、何も起きなかった。
諏訪子は驚愕していた。
諏訪子「えっ、えっ!?何で突然……。」
諏訪子が焦ってる時、私の視界に映っていた氷の山が、突如砕けた。
そして、そこから声がした。
「流石は神だな。ここに来てすぐに能力を失わないとは。」
そこには、青色のロング髪に水色の服、紫のスカートに紺に煌めく大剣を背負った少女がいた。
諏訪子「貴方は誰?」
「……或金氷華。絶対零度の使い手だ。」
妹紅「絶対零度……そうか、ここを創り上げたのはお前か。」
氷華「如何にも。……さて、早速だが、一戦交えようか!」
妹紅「ほう、いきなり主犯と戦闘か。油断して倒れたりするなよ、つまらないからな!」
諏訪子「(楽しそうだねえ…)」
続く