第15話「凱風快晴」
……なんだろう、この感覚は。
身体全体を炎が覆ってるのに、全く熱くない。痛くない。
これも紫が施したのか……本当、危ない奴だ。こんな芸当をやってのけるとは、流石大賢者というわけか。
フランドール「……!」
フランがむくりと起き、私を睨んだ。
妹紅「フラン……。その目、覚まさせてやるよ!」
そう叫び、私は火力を増大させた。
藍「ぐっ……!?このままだと私も……!」
……! マズい、藍まで巻き込まれてしまう。だが、一撃で沈めるならこのぐらいの火力は無いと難しいと踏んだ。
妹紅「藍、悪い。とびっきりの障壁を張ってくれ!こうでもしないとフランは元に戻らないと思うからな!」
藍「妹紅……分かった、お前に任せるぞ!」
そう言って藍は、何重にも重ねた障壁を展開した。
妹紅「……さあ、準備は出来た。フラン、少し我慢してくれ……!」
私は、身体に迸る炎を脚に集中させた。
そして、空中へ跳び、脚に集中させた炎を最大限に燃やしてフランごと地面を蹴り飛ばした。
妹紅「凱風快晴飛翔蹴!!」
私が蹴った地面の氷はたちまち溶け、そこから炎の柱が立ち昇った。
そして、先程までやや狭い通路だった場所が、ある程度の大きさの空洞となった。
藍「す、凄い……!これが妹紅の本来の……!」
妹紅「藍……!私の我儘を聞かせて悪かったな……。」
藍「いや、大丈夫だ。これも仲間を助ける為、だろう?」
妹紅「……ありがとう。」
やはり、藍は良い奴だ。
さて、フランの容態を確認しなければならない。あの技を受け、フランは10メートル程先の壁へと激突した。
妹紅「藍、フランの元へ向かうぞ。」
藍「分かった!」
私と藍はフランが倒れている場所に着いた。
妹紅「フラン!大丈夫か……!?」
……自分で倒しておいてこう言うのは凄い違和感があるが、こうでもしないと、恐らく操られっぱなしだっただろう。
フランドール「…………ん……。」
妹紅「フラン、分かるか!?私だ、妹紅だ!」
藍「妹紅、少し落ち着け。いきなり叫ばれるとビックリするだろ?」
妹紅「……悪い。」
藍「……フラン、藍だ、分かるか?」
フランドール「……妹紅……藍……なの……?」
妹紅「……ああ、そうだ。」
フランドール「……私……何してたの……?」
真実を伝えようか一瞬迷った。しかし、嘘をついても何にもならない。私は、正直に出来事を話そうとした。
妹紅「それはだな……」
その時。
ドゴォォォン……!
妹紅「……ん?」
藍「大きな音が聞こえたな……。」
妹紅「何かが衝突した様な……、ま、まさか!?」
私はある一つの事態を想像してしまった。
私達と別行動の旦那とぬえに何かがあった、と。
もしそうだとしたら、2人が危ない。だが、フランはまだ動ける状況じゃない。
妹紅「……藍。悪いが、フランを見ててくれないか?……胸騒ぎがするんだ。」
フランドール「……?」
藍「……あの2人か。」
妹紅「ああ。もしかしたら、あの衝撃で大変な目に遭っているかもしれない。私はそれを確かめに行きたい。」
藍「妹紅……。」
妹紅「……何度も、悪い。」
藍「……分かった。あの2人が危なかったら、全力で助けてやれ。」
妹紅「……ああ。」
私は、藍とフランと別れ、地鳴りがした方向へと向かった。




