白虎
皆さんどうも、白銀鈴音です。俺はおそらく今、ゲームの世界にいます...
「おーいシロガネ、朝だよー!」
「あ?もうそんな時間にゃのか?」
眠い気持ちを抑えて下に降りると、机の上に朝食が置かれていた。
「ほら、はやく食べようよ!」
「「いただきまーす」」
「本当にマミが作ったのか?」
正直信じられないクオリティだった。
「ひどいなぁ。全部私が作ったに決まってるじゃん。ま、シェフマミさんとでも呼ぶがいい!」
マジか...何気に料理が上手いのか...ん?
「...料理本、見えてる。」
「ギクリ!ちょっとくらいカッコつけさせてよ...」
「わ、悪い。」
「ま、いいけどね。」
いいのかよ!
数分後...
「さ、食事も終わったし、戦いにいくよ!」
戦いと言っても、どこでやるのだ?
「どこでやるのだ?って顔してるね。いいでしょう、教えてあげるよ。ちょっと付いてきて。」
家の外から少し歩くと、闘技場のような場所に到着した。
「ショーくーん、いるー?」
ショー?だれのことだ?といういつもの疑問を抱きつつ、ショーという人物を待っていると...
「なんだよマミかよ...どうしたんだ?暇なのか?残念ながら俺は今忙し─」
「今日はフロアをかりたいんだけど、いいかな?」
「なんだ、そんな事なら自由にいいよ。いくらでも使いなよ。」
簡単に借りられるもんなんだな。
「じゃあ行こっか。シロガネ、付いてきてよ。」
少し歩くと、大扉の前についた。
「ここが闘技場のフロアの入口だよ。入ってみてよ。」
重そうなのだが...と思いつつとりあえず扉を押すと簡単に開いた。
「マ、マジかよ...」
そこにはありえないほど巨大な敷地が広がっていた。
「ここが闘技場のフロアだよ。今日はここで仮訓練として私と戦ってもらうよ。」
仮訓練...か、面白そうだな。
「ちょい待っててね、フィールド設定とか、色々してるから......おっけー。準備完了だよ。仮想フィールド展開。ルール対応。仮訓練スタート」
すると目の前が真っ白になり、戻った頃には目の前に草原が広がっていた。
ここが仮想フィールドか...すげーな、こんな事が出来るのか。
「じゃ、早速バトルしよっか。エンテン解放」
「白虎着装」
「仮想訓練を開始します」
プログラム音声と共に少し体に違和感ができた。しかし、その違和感はすぐに無くなった。
「早速行くよ、シロガネ。」
「かかってこい。」
その合図とともにマミが攻めてきた。
「炎に抱かれよ、エンテン・ブレイズ」
マミのセリフに合わせるように、エンテンが炎に包まれた。
「君はできないの?こんなの。」
「わっかんね。」
「アビリティは?」
「解放。」
「じゃあ、それに合わせた技をつくっちゃえばいいんだよ。」
技をつくる...か。やってみようか。」
「古の力を解き放て...白虎、Re解」
俺のセリフに合わせ、白虎の見た目が変わり、装着が腕以外にも広がって、体、そして顔の半分を覆い尽くした。
「な、何それ!!凄すぎだよ!私でも両腕が限界なのに!!」
「お、俺にも何が何だか...」
本当に訳が分からない。なぜこんな
とになっているんだ?
「その帯みたいなのは...尻尾?半分に1本あるから、2本あるんだ...」
謎の分析をかましてきた!?マミって凄いやつ...なのか?
ズキン!!
「うっ...あた...ま...が...」
なんだこの感じは?頭が何かに侵されているかのような...嫌な感じだ...
「うがぁぁぁ!!頭がっ!割れる!!たす...け...て...くれ...」
「シロガネ!?大丈夫!?」
「がぁぁぁ!ぐっっ!にげろ...マミ!早くっ!!」
「ダメだよ!!シロガネを置いてなんて!!」
「ちく...しょ...う」
バタッ─
その瞬間、俺の意識は飛んだ。
✣シフトチェンジ─マミ目線✣
「シロガネ!!ねぇ!返事して!」
しかし...シロガネからの返事は返ってこない。
「ねぇ!シロガネ!!起きてよ!!」
すると、シロガネが無言で立ち上がった。
「良かった...死んじゃったのかと思ったじゃん!もう...心配させないでよ。笑えないよ~。」
「.........」
「シロ...ガネ?」
バン!!
「ぐっっ!シロガネ、何すんのよ!」
「喰らう...喰らう喰らう喰らう喰らう喰らう喰らう喰らう喰らうぅぅ!!」
「こいつ、シロガネじゃ...ない?」
「うぐぁぁぁ!喰らう!!」
シロガネはマミに突撃してきた。
(やばい...やられる...)
「ノールッキング!」
「ど...こだ...俺の...飯...は......どこだぁぁぁぁぁぁ!!」
「魔装エンテン...双装!」
マミの両腕にエンテンが展開された。
「ぞごがぁぁぁぁ!!」
バゴォーン!
(攻撃力やっばいなぁ...てか空腹すぎるのか?もう言葉になってないっての...)
「炎魔...焔乱舞!」
シロガネに無数の炎が飛びかかる。
「やったか?あれで耐えたら相当だけど...どうだ?」
「...ぶっごろず!!ぞじで...ぐらうぅぅ!!ぐらいづぐずぅぅ!」
「無傷かよっっ!!やばい、このままじゃ...やられる!!」
✣シフトチェンジ─シロガネ目線✣
「...こ...こは?どこ...だ?」
気がつくと、湖の近くにいた。
辺りを見渡してみると、1つの小屋を見つけた。俺は、引き寄せられるかのようにその小屋に向かった。
「お邪魔します...」
中に入ると、青年が座っていた。
「あの...ここってどこなんですか?気がつくとここにいて...」
「お前は、白虎の力を解き放ったか...ここは貴様の仮想空間、とでも言うのかな。要するに、お前の脳内世界だ。ここにいる理由...それは貴様が白虎に侵されたから、というところかの。」
「白虎に?」
「白虎は昔、装喰らいと呼ばれていた。しかし、ある時の契約者に心を突き動かされた。それをきっかけに白虎は装喰らいでは無くなった。しかし、貴様のRe解により、白虎の古の状態へと1時的になっている状況である。」
「質問。白虎は俺が考えてできた、たった1つの魔装だろ?何でそれが過去にあったんだ?」
ピカッ!
「うっ!」
「どうやら時間切れのようだ。行け、青年。お前が、白虎の暴走を止めるのだ!」
やってやるよ。俺が─白虎を止める!