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アルカナの戦慄  作者: 瑞希
聖戦のアンゲルス
1/226

主人公外の少女

9月9日午前9時


火曜だったその日。

いつもと変わらぬ日。

いつもと同じだった日。

これからも日常であったはずの日。


それは起こった。


”悪魔“と呼ばれる存在による被害は、壮絶なものであった。

中心部と思われた聖真せいま市の被害は氷山の一角に過ぎず、実際には日本中…世界中に及んでいた。

死者をも出した、その被害からの復興…。

それと共に組織は創られていった。

悪魔と対抗しうる、唯一の力を持った能力者レジティーマ達によって。


それら全ての始まりであった2012年から

20年後





挿絵(By みてみん)

神皇直属機関 対悪魔防衛組織及び能力者育成保護機関

―――アンゲルス―――


「すぅ…」

私はそっと息を吸い込んで、瞳を閉じた。

瞼の裏から見えるのは真っ暗な世界…と思いきや、赤みを帯びた世界だった。

それは案外綺麗に見えて、自分が生きてることを実感した。


「それを投げうってるんだよなぁ」

そう呟き、私は屋上から体を投げた。


ふっ…と心臓や臓器が上がる感覚を覚えたが、その感覚も頬を打ち付ける風も、悪い気はしない。


むしろ、気持ちいいとさえ思うのだ。


3………



2……




0!!!

「“発動!”」

私は目を見開いて体をひるがえし、能力媒体GEMを発動させた。


ヴォン


独特な音を鳴らし、GEMは一瞬で細剣へ姿を変えた。

私は上向きになっていた、柄の無い細剣をくるんと下へ回した。

重力のままに吸い寄せられ、細剣は対象を貫く。

正確に言えば、マニュアル通り紋章へ。


最後の声すらなしに、対象…悪魔リビドーは霧散した。

「“解除。”」

空かさずGEMを元のイアリングへ戻すと、貫いた紋章から出るキラキラとした輝きが、GEMへ吸い込まれた。

そこまで大きなエネルギーではないが…

うん。悪くはない。


すると後ろからパタパタと足音が聴こえてくる。

陽灯ひかり

 大丈夫!?怪我してない?!」

白い肌と華奢な体で超可愛くて優しい坂井サカイ エン。私の班、そして隊の一員だ。

私が降りた(落ちた)廃ビルから慌てて来たみたい。

こんなにも可愛いけど歴とした男の子。でも可愛いから良し。

そのうえ一歳年下。もう可愛いしかない。

いや、しかって訳ではないけど。


そんな苑が、涙目で私の方へ駆け寄ってきた。

何も言わず、急に飛び降りた(落ちた)私に驚いたんだろう。

けど、あの場で説明をしてたら、敵を逃してた。

苑には悪いことしたけど、これも任務の効率性を高めるため。

こればっかりは慣れてもらうしかない。


だから私は特に悪びれもせずに微笑んだ。

「ええ。力も殆ど使ってないわ。」

あれが最善の策。

力は無駄遣いをするべきではない。

もしものとき、対応できなければ意味がないのだ。


「そっかぁ、それなら良かったぁ…」

えんは胸に手を当てて安堵した。


けれど、もう一人の人物は納得してくれなかったみたいだ。

「良くない!陽灯ひかり

 もし、敵が少しでもズレてたらどうする?!」

保健室の王子様こと、槌居ツチイ 友姫ユウキ

ちょっぴりハスキーな声で格好良いけど歴とした女の子。

髪は長いんだけど一つに束ねてるから、なんか逆に格好いい…


でも、そんな保健室の王子様も、私にとったら心配性で少し怖い、小さなお母さん。みたいなイメージ。

ちなみにお母さんだけど友姫は二歳年下。


でも、小さなお母さんの心配には及ばない。

「それなら能力を使っていたわ。」

私の能力レジ。それは…雷。

私は剣使いだけど、基本は中距離だ。

雷を銃のように使って間合いを取りつつ隙さえあれば…という感じ。近距離は友姫の専売特許だろう。


「そういうことじゃなくて!

 怪我したらどうするの!!」

余計に怒る友姫に、私は少し困った。


確かに、何の防御力も防具もない状態で、あそこから落ちればただでは済まないと思う。

でも

「そこまで防御力は低くない。

 …班長の事、信じて」

私は仮にも班長で年上で、二人より経験あるのに、何故か二人はあまり私のことを信用しない。

今まで任務に失敗したこともないのに、何故だろう?


「信じてるけど…心配なの!」

う…、うーん………違いが解らない……?


「大丈夫よ。本当に危なかったら逃げるから」

あの程度の敵に、どうこうなるような弱さではないけど…


「本当に…?」

ふと、友姫が私の瞳をじっと見つめた。

まるで、瞳の奥から本当の私を探っているかのようだ。


けれど、そんな風にしたところで意味はない。

「ええ。自分を守れないものに他人を守る資格はないもの。」

私は真実であることを信じてもらうために、友姫をじっと見つめ返した。


ふっ…と、友姫は目を閉じた。

どうやら、信じてくれたらしい。

「ならいい。

 だけど、心配だからやめてよね

 心臓がキュッてなる!」


確かに最初のうちは、高いところから落ちるのは中々にスリリングだったけど、

「ふふっ。そのうち慣れるわ!」

今じゃ、ちょっと癖になってる。

生身じゃできないからね!


友姫は少し不満そうに口を尖らせたが、そのまま少し目を閉じ瞑想?すると、パッと目を開いて頷いた。


これは友姫の癖だ。

なにか不満に思うと目を閉じて考え、その上で返答を決める。

ここは友姫の良いところ、と班長の立場からして思う。

戦場や危機的状況だと、後先考えず突入してしまう人もいる。

その方が強い人もいるけど、己の身を守るなら、仲間を守るなら、冷静に考えられる方が良い。


まあ、みんながみんなそれでも困るんだけど。

「解ったよ。」

だけど私は友姫が”それ“で良かったと思っている。

私はあまり器用な方じゃないから、自分で考えて的確に行動してくれる人の方が良い。


『ちょーっと愛本班?

 いちゃいちゃしてないで、澤田分隊も手伝ってあげてヨー』

彼女はイーサン… イーサンだ。本名である。

イーサン班の班長で、私と同じ愛本分隊だ。

普通なら最初に名乗るものだが、私達の間にそれはない。

他のメンバーなら有り得ないが、この隊の班長達は長い付き合いなのだ。


故にこんな冗談もよく言う。 

「いえいえ、私は一介の班長に過ぎませんので

 分隊長を手伝うだなんてだいれたことできませんわぁ~」

と、少し気取った声で言った。

実際問題、澤田分隊が危ない!なーんてことはないだろうし。

どうせ澤田分隊長が楽したいだけでしょ?


すると軽い雑音のあとにイーサンとは違う声が聞こえた。

『おいこら、糞つまんない演技してないで手伝えよ。愛本分隊長。』

少し嫌みにそう言ったのは、澤田サワダ 礼人ライト

礼人班の班長で、澤田分隊の分隊隊長でもある。


つまりはこの小隊の中では、彼が私と同じ地位…と言うことになってはいるが…。

「だーから私は班長だってば」

正直、実力では私はイーサンにも劣っている。

私が分隊長になっている意味が、未だに理解できないのだ。


『愛本ちゃん。本当にお願い。』

明石家アカシヤ タキさんの声だ。

瀧班の班長で、澤田分隊の副隊長。


明石家さんにそんなに冷静な声で言われては、今は隊長どうのに気にしていられなくなる。

「……解りましたわ。

 イーサン班は?」

イーサン本人は隊員室に居るが、他のメンバーは此処に居るはずだ。

彼らも増援に行けるのなら一緒に行くし、危険な状態ならそちらを優先する。


『平気だけど余裕はないヨ。

 指示送るネ。』

つまり、増援に行くのはうちの班だけ…ってこと。


私は片足を踏み出して、後ろで待機していた二人に目配せをした。

「愛本班、了解。」

次の瞬間に私だけに聞こえる“音”が鳴り、GEMは私の瞳へ指示を映した。


イーサンが送ってくれた立体地図を視ると、礼人達は割りと近くに居るみたい。

…と言っても、障害物があるので目視はできないのだが。


「行こう。」

私は二人に向かってそう呟くように言って、走り出した。






杖  主な組織…フルール・ド・リス

ACE   「華綾」

  「」

「」

 「」

  「」


聖杯 主な組織…アンゲルス

ACE   『綾雅』

  『』

『』

 『』

  『』


剣  主な組織…紫の庭

ACE   〈フール〉

  〈〉

〈〉

 〈〉

  〈〉


金貨 主な組織…教団

ACE   《ルキフェル》

  《》

《》

 《》

  《》

初めまして、こんにちは、こんばんは。

この小説を読んでいただいて本当に有り難うございます( ノ_ _)ノ

我ながら少々奇怪で複雑な内容とはなりますが…

どうか最後までお付き合いください。

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