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少し未来の話

最終話以降の話です。

完璧に蛇足です。

蛇足より後の話です。ご注意ください。


視点は舞戸です。










桜の季節はもうちょっと先。

梅の季節は微妙に過ぎた。

けれど空は十分すぎる程澄み渡っている。

そんな今日、私は母校の最寄り駅前にやってきた。

私達が卒業して、3年になる。


「やっほー」

角三君も時間前集合である。珍しいね!

声を掛けたら片手をふいっ、と上げて応えてくれる。

角三君は相変わらずである。

「……何か持ってきた?」

「いや、特には。角三君は?」

「特に何も持ってこなかったけど……大丈夫かな」

うん、大丈夫だと思うよ。どうせみんな色々持ってくるんだろうし。


少しそのまま待ってたら、自転車に乗って鳥海と刈谷がやってきた。

「あれ、あの、まだ集合時間前ですよね?」

刈谷も相変わらずである。心配しなくても15分前だよ。

「角三君が時間前に居るとか……やだなー、俺、今日、傘持ってきてないんだわー」

「……酷くない?」

うん、甘んじてからかわれてくれ。角三君はそう言われてもしょうがない程度の前科があるんだから。うん。


そのまま駄弁って待っていた所、社長がやってくる。

「遅れましたか」

いや、遅れてないよ。……角三君のせいか。うん。確かに違和感はあるけれどさ。

「何を持ってきていいのか分からなかったので特に何も」

「俺はドミニオン持ってきた」

鳥海が持ってるケースはそれらしい。

……うわー、オプションまで揃ってそう。すげー!

「あ、俺は何も……あ」

刈谷の視線を辿るまでも無く、鈴本と羽ヶ崎君と針生が来ていた。さっき来ていたバスに乗っていたらしい。

「これで全員……じゃないな。加鳥はどうした?」

「特に連絡は来てないけど」

一応携帯をもう一度確認するも、特に何も無し。

「寝坊でしょ、どうせ」

羽ヶ崎君、にべもない。

「わーい、今日は俺、ビリじゃなかった!」

針生も時間内に来た、っていうのは結構驚きなんだよなー……やっぱり楽しみだったんだろうか。うん。なら分かるぞ。


そのまま集合時刻を5分ほど過ぎて待っていた所、自転車に乗った加鳥がやってきた。

「ごめん、寝坊した」

飛ばしてきたのかな、なんか疲れ気味だね。うん、お疲れ様。

「……よし、じゃあ行こうか」

もう場所は取ってあるのだよ。




そのまま公民館の会議室に入る。

予約取ったのは私です。はい。うん、利用目的を正直に言っていいものかちょっと迷ったけれど、案外こういう用途で部屋を借りる人も多いみたいで、職員さんも手馴れたもんであった。ごめんなさい。

「じゃ、何からやる?」

「半分に分けてドミニオンとカタンやって、2ゲーム位で交代して、飽きたら人狼としゃどはんやろうか」

人数的に丁度いいよね。うん。

ちなみにカタンもってきたのは加鳥で、しゃどはん持ってきたのは鈴本である。

カタンはともかく、しゃどはんはよく持ってたなー。絶版なはずなのに。




「街道!街道!街道!街道!この植民地、鳥海が勝ち取ったり!」

「うわあ街道ゲーだ」

「……木材持ってる人、居ないか?」

「鉄2枚で交換してあげてもいいけど?」

暫く遊んで、交代して。

「破壊工作員~」

「やめろ!」

「やめてー!」

「……あ」

「へへーん、これでロンゲストは俺のものだー!」

楽しくすごして、途中で各自昼食をとりつつ。

そこからは全員でしゃどはんやって、私がダニエル独り勝ちなんぞしてみたりして、それから人狼が始まった。

「はい。村長と羽ヶ崎君が無残な姿で発見されました」

……ああ、羽ヶ崎君、妖狐だったのか……。初日溶けとは運の悪い。

「どんまい!」

「妖狐乙っすわ」

「来世で頑張れ!」

皆何とも言えない励ましを笑顔で述べた後、話し合いに入る。

うん。この村にもう妖狐の危険は無くなったからなー。妖狐ケアにターン費やさなくていいのはでかいよね。


「狂人です。人狼さん出てきてください。パワープレイしましょう」

私は1日目に噛まれて死にましたが元気です。はい。

そしてそんな中、社長が狂人を名乗り出る。

……も、残った鳥海も針生も名乗り出ない。

「あ、これは人狼が狂人アテにしてやっちゃったかんじ?」

「社長吊って終わりだねー」

そして嬉々として投票タイムに入る。……あほめ。それは社長の罠だ……。

「はい。人狼陣営の勝利です。いやあ、完璧でしたね」

狂人は吊られるのも仕事だもんね……。

あそこで鳥海が乗った時点でおかしいと思えよ、針生……いや、もうあの面子になった時点で無理か……。




それから何ゲームかしたけれど、駄目だ。

羽ヶ崎君と加鳥と社長と鳥海が滅茶苦茶強い。

私と針生と角三君が滅茶苦茶弱い。

一番弱いのは刈谷だけども。

うん、刈谷と針生と角三君で、人狼、狂人、狂人、っていう状態でお互い疑心暗鬼になって膠着してたのは外野としては非常に笑えた。

……と、まあ、かなり楽しく、夜7時まで遊び倒した訳でございます。




その後近場のファミレスに入ってご飯食べながら駄弁る。

「ところで君達、もう新しい環境にはなれた?」

私は慣れたぞ。

「まあ、ぼちぼちやってるよ……」

「加鳥はもうちょっとバイト減らさないと……バイト戦士やってたら体壊しますよ」

「あと、角三君も。なんでそんなに働きまくってる訳?103万超える気?」

「いや……ぎりぎりセーフ……。鈴本に前回教えてもらってなんとか留まれた……」

バイト戦士達にはもう少し体調と所得税に気を付けて頂きたいものである。

「鳥海はよく体持つよね。俺、週3回実験とか、絶対無理―」

「うん、まあ、そのせいで講義の授業2つ落としたけどね。来期は減らすわー」

なんというか、ちょっと考えたくないぞ。週3回実験って……。

「俺は1つも落としていない」

「僕も落としてないけど?」

見栄っ張り2人は影で滅茶苦茶に努力してるんだろうから何も言わんぞ、私は。

「俺は資格取ろうと思って今勉強中です」

……。うん。

「え、何の資格?」

針生よ、何故察しがつかない。

「毒物劇物取扱者資格です」

それか危険物取扱の方か、どっちかだと思ったよ、私は。

「うわあ……社長っぽい……」

正直、取ってどうすんだよ!っても思うけれど、君が満足するならそれでいいと思うよ。うん。




そのまま雑談して、就職とか研究室配属とかの話になったと思ったら政治の話になり、何時の間にか古い漫画の話になり、そして哲学の話になっていた。

うん、周りのお客さんが微妙な顔してこっちを見ていた。

その時の内容については……社長のディストピア思想は健在であった、とだけ。うん、いや、むしろパワーアップしてた、というか、斜め上に向かって全速前進してるっていうか……。




「さて。春休みはまだ長いぞ諸君。あと1回ぐらいは集まれるんじゃないかな?」

結構ファミレスで粘ってからお店を出て、私たちは帰路につく。

「次の幹事は?」

「まだやってないの、誰だっけ?」

「いや、もういない。舞戸で2周した」

……おお。そっか。

じゃあ私達は……実に18回。卒業してからこうやって集まった事になるね。

いやはや、良い友達を持ったものだね。卒業して、それぞれがそれぞれの進路に進んでいってもまだこうやって集まれるんだからさ。幸せな事だよね。

「じゃあ、恒例のじゃんけんで決めよっか」

ね、と加鳥が言い出し、全員が拳を握る。

「さーいしょーは」

「グー!」

「パー!」

「パー」

「グー……えっ」

「チョキ!」

「パー」

「グー」

「グー」

「約束の日……あっしまった握れない」

……うん。隣にいた角三君の手を握ろうとした鳥海が負け、という事で次回の幹事になった。

なんというか……。うん。こういうやりとりも懐かしかったりするんだよなあ。

「じゃあ、また連絡しますわー」

「うん。またねー」

それぞれ、バスだったり電車だったり自転車だったりで帰っていく。

……さて。私も帰ろ。

次回は何をすることになるだろうか。

……何やっても楽しいんだろうから何でもいいんだけど、さ。

帰り道をてくてく進んでいく間に、微妙に体が弾む。

次があるって、そう思うだけで帰り道も楽しくなるから不思議だよね。


とりあえずこれで番外編も一段落です。

しかし気が向くと増える恐れがありますので完結にはしないでおくつもりです。


補足

完結設定に変更があったようなので、折を見て完結状態にしようと思います。

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