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メイドは見ていなかった

舞戸が見ていなかった部分の話です。

時系列は139話です。

視点は加鳥です。





「鉱山だな」

「鉱山だね」

「鉱山ですね」

 色々あって、僕たちは鉱山の中を探索することになったよ。

「……できるだけ急ごう。舞戸の精神面が心配だ」

「別に心配するまでも無いでしょ。あいつ精神に毛が生えてるし」

「むしろ楽しんでたりするんでない?ん?」

「いや、流石にそれはないんじゃないかと……」

 うん、理由は家庭科部の人達の『心』を取り戻すため、そのために『鉱山のお化け』を探してなんとかするため、なんだけれどね……。

 その間、生気が抜けているとは言っても、あの人達と舞戸さんを一緒にしておくのは、なんとなく不安だから。できれば早く帰りたいよね。




 道は分かるから、そこは助かるよね。

 家庭科部の人達の記憶は僕らにも『共有』済みだから、その通りに進めば鉱山の奥に迷わず行ける。

「うわーい鉱山楽しい!」

「元気だなあ」

「針生さん、あまり跳ね回ると落盤の恐れもあります。できれば静かに」

 鉱山の中は、はじめはモンスターも出なかったんだけれど、奥の方、脇道の方に行くと、少しだけモンスターが出てくるようになった。

 でも、針生はこういう狭い場所が得意だから。壁も天井も跳ね回って、あっさりモンスターを全滅させてる。

 逆に、こういう狭い所だと、僕の出番って無いんだよなあ。




「さて、目的の場所に着いたわけだが」

「なんもないじゃん?ん?」

 けれど、貰った記憶通りに進んだのに、先には何も無かった。

 ただ、坑道の先に行き止まりがあって、ぼんやり光る石がたくさん転がっているだけ。困ったなあ。

「『お化け』、って……石?」

 まあ、うん、ここには石しかないよね。

「おばけなら一か所に留まってないんじゃない?」

「どうする?移動して『お化け』とやらを探すか?」

 まあ、たしかに、お化け、っていうなら動くもの、かもしれないよね。

 相手が動くなら、前と同じ所で会える、っていう保証も無いわけだし……難しいよね。

「いや、それが本当に『お化け』ならそうですが……俺は素直に、これが怪しいと思いますよ」

 でも、社長はそう思わなかったらしい。

 ぼんやり光る透明な石を、こつん、と叩いて笑ってみせた。

 ……うん。そうなんだよなあ。

 叩いちゃったんだよなあ……。


「……社長?」

 笑顔をひっこめて、なんだか眉間に皺を寄せている社長に羽ヶ崎君が声を掛けると、社長が……こんなことを言った。

「……目が、見えなくなりました」

 羽ヶ崎君の方を向く社長の目線は、微妙に、羽ヶ崎君の方を向いていなかった。




「どどどどうすんの、社長やばいじゃんそれ」

「刈谷、回復」

「もうしてますよう」

「社長、視力は」

「……駄目みたいですね。戻りません」

 刈谷が回復してみたけれど、社長の目は元に戻らないみたい。

 僕や羽ヶ崎君もそれぞれ回復してみたけれど、それでも駄目らしい。どうしよう。困ったなあ。

「んー、これ、一旦外出た方が良い?二次被害が出ないとも限らなくない?」

「そうだな。社長以外も立て続けに視力を失ったら、この坑道の中で魔物に襲われた時に対処できなくなる」

「いえ、ちょっと待ってください。多分、大丈夫です。原因は分かっていますから」

 戻ろうとした僕たちに構わず、社長は手探りで足元から石を拾い上げた。

「多分、これがさっき、俺が叩いた石だと思います。変化はありますか」

「え……違うと思う。透明じゃない。灰色してるし」

「成程、色が変わった、と」

 社長は1人で納得してるんだけど、角三君の言う通り、石は灰色してるんだよなあ。

「なら、とりあえず試してみる価値はあるでしょうね」

 社長は石を握ったり触ったりして……それから、握りつぶした。

 うーん、なんだか、こういう事ってもう珍しくもなんともないはずなんだけれど、角三君とかならまだしも、社長がこういうことすると、違和感があるんだよなあ……。

「戻りました」

「えっ」

「視力が戻りました」

 ……しかも、戻った、みたい。

 うーん、やっぱり社長だよね。




「……ということで、この石は恐らく、衝撃を加えると『視力や感情』を閉じ込め、砕くとそれらを開放する、というものなのでしょう」

 社長が身をもって証明してくれた石の効果は、そういうものらしい。

 うん、だから今まで、採掘していた人たちがこの石を砕こうとしたり、採掘しようとしたりして被害にあってるんじゃないかなあ。

「成程な。……なら、この辺りにある『灰色の石』を片っ端から砕けばいいわけか」

 解決方法も分かったから、これで一安心、かな。


「俺に任せろーバリバリ」

 早速、鳥海が近くにあった灰色の石を砕いた。

 ……そしたら。

「おうわっ!?」

「えっ」

「うわ……うわーっ!?角三君ーっ!」

 砕いた石から、ぼっ、て、炎が出て、近くにいた角三君に引火した。

 どうして角三君ってこういう不幸に巻き込まれやすいんだろうね。


「熱かった」

「ごめん」

 角三君の消火作業も終わったし、石から出てた火もすぐ消えた。

 こういう狭くて埃っぽい場所だから、運が悪かったら粉塵爆発とかしてたかもしれないよね。危なかった。

「……この石って、もしかして、本当に何でも閉じ込める、のか?」

「……みたいですね」

「しかもこれ、見た目じゃ、中に何が入ってるか分かんないんじゃないの?」

「ですねえ……」

 ……そんな危険物、こんなところで開封できないじゃないかあ。




「……ね、俺さ、ちょっと気になっちゃったんだけど、社長は視力もってかれたじゃん」

 針生が急に真顔になって、そんなことを言った。

「これさ、他の人がやったら、何持ってかれるの?」

 ……ね。

 うん。確かに、ちょっと、気になる、なあ……。




 犠牲者は普通のじゃんけんで決めたよ。

 何の犠牲って、当然の如く、この石に何かを持っていかれる実験台なんだよなー。


「じゃ、トップバッター鈴本どうぞー」

「叩けばいいんだよな?」

 最初は鈴本。

 社長がやったみたいに、透明な石を軽く叩いた。

 一瞬、鈴本がぼんやり光ったみたいなかんじがしたけれど、特に見た目の変化は無いかな。

「鈴本さん、何か変わった事はありますか?」

 ……けど、何をもっていかれたのかはすぐ分かった。

 鈴本が口パクとジェスチャーで『声が出ない』みたいなことをやってるから。

「声ですか」

 社長の言葉に鈴本が頷いた。

 そっかあ、声を持っていかれることもあるのかあ。

 これ、戦闘中とかだったら指示ができなくなるから、結構困るかもね。

「あ、ちょっと面白いこと考えた。ちょっと鈴本、そのまんま無言で喋ってくんない?」

 そんなことを考えてたら、鳥海がそんなことを言い出した。

「無言で喋る?」

「無言で喋る……?」

 意味は分かるよ?けど、無言で喋る、って、なんかなあ……。

 でも、鈴本は鳥海の言う通り、そのまま口パクとボディランゲージだけで喋り出した。

 ……うん、こういう時、鈴本、案外ノリいいんだよなあ……。動きにキレがあるし。

 すると。

「今日紹介するのはこの包丁!」

 ……鈴本の後ろで、鳥海が何か始めた。

「この包丁をタダの包丁だと思ってもらっちゃ困るぜ!なんとこの包丁は……」

 うん。

 うん、なんだろう。

 すごく、アメリカの通販番組みたいになってる。

 いつの間にか、鈴本もノリノリでアメリカの通販番組の人みたいになってるし。

「この包丁は、刃渡り80cm!」

「鮪包丁かよ」

 羽ヶ崎君がぼそっと言ったら、針生と角三君が同時に吹きだした。

「鮪だってモンスターだって捌ける、最高にクールな包丁だぜ!」

 ちなみに、鳥海の台詞に合わせて、鈴本が抜刀してポーズとってる。ノリいいなあ。でも包丁じゃないと思うなあ。

「さらにこの包丁のすごい所は!」

 鈴本がさらにポーズをとる。

「刀身が伸びる!」

 鈴本、『エネルギーソード』で刀身を伸ばした。

「伸縮自在!」

 鈴本のポーズはそのままで、『エネルギーソード』だけがみょんみょん伸び縮みした。

「しかもエネルギー体だから、洗う手間も省ける優れものだ!これが今ならなんと、たったの19800円!ただしMPは購入者の負担になります!」

 流石にこれには皆大笑いだよね。笑うしかないじゃないかあ。




「全く、何をやらせるんだ」

「えー、ノリノリだったじゃん?ん?」

 石を砕いて、鈴本の声を戻して鈴本の番は終わり。

 うん、楽しかったなあ。


 次は僕。

「軽くでいいの?」

「力を入れると砕けるぞ」

「粉砕してしまうと、砕く時に苦労すると思うのでやめた方が良いです」

 あ、そっか。最初から砕いちゃったら、その砕いた破片まで全部砕かないと、持っていかれたものが戻ってこない可能性があるよね。気をつけなきゃね。

「じゃあ、いくよー」

 かるく、ほんのかるく石を叩くと、石が灰色になった。

 ……あ。すごい。

「わあああああああ!加鳥が縮んだああああああ!」

「うん。縮んでる、よね、これ」

 出してみたら、声もちょっと高くなってる。

「持っていかれたものは……時間、でしょうかね」

 小学生サイズにまで縮んだ所で、縮むのは止まった。

 ……けれど、わー、すごいな。全然見えるものが違う。

「うわあ、うわあ……加鳥が俺よりちっさい」

「うわー、針生が僕より大きい」

 というか、皆を見上げないといけないのが全部新鮮なかんじかも。

 うん、これはちょっと楽しい。




 しばらく楽しんでから、石を砕いて元に戻った。

「なんか、結構変なものも持ってかれるっぽいね」

「ねー。まさか縮むとは」

「うん、新鮮だったなあ」

 けれど、うん。『時間』まで持って行かれちゃうなら、『心』ぐらい、持っていかれてもおかしくないよね、っていう確認にはなったかな?


「じゃ、次。角三君」

「ん」

 次は角三君。

 躊躇なく石を叩いた。

「あ」

「みしっ、ていったよね、え、大丈夫?」

 ……力が入りすぎて、ちょっと危なかったみたいだけど、罅までで済んでた。あー、よかったー。

「で、角三君。何か変わったか?」

「いや……特に……んー……?」

 そして角三君は、特に変化が無いのかな?

「……嗅覚、のような気がするけど、分かんない」

「なら角三さん、これをどうぞ。本来なら匂いがするものです」

 すんすん鼻をならしてる角三君に、社長が試験管を手渡した。

 なんだろう、無色の液体が入ってるけれど、嫌な予感しかしないぞー。

 でも角三君は受け取って、少し匂いを嗅いで、それから結構モロにいったんだけど……。

「ん。……ん?……あ、全然匂いしない」

「みたいですね」

「角三君!鼻血!鼻血出てるから!角三君!」

 真顔で試験管を返す角三君。いつもの表情の社長。そして角三君は真顔のまま、だらだら鼻血出してる。うわあ、なんだこれは。

「アンモニアです」

「社長、それは流石に酷くないか」

「いやー、流石ですわー」

「まさかモロに嗅ぎに行くとは思わなかったので」

「……あ、匂いはしないけど、なんか……ひりひりしてきた……」

「これ、すぐには石、砕かない方がいいんじゃない……?」

「だな……少し待ってからにした方が良さそうだ」

 角三君には刈谷が回復魔法掛けてあげてた。




 角三君の嗅覚を戻したら、最後の犠牲者の番だね。

「じゃ、最後の犠牲者どうぞー」

「嫌な予感しかしないんだけど」

 最後の犠牲者は羽ヶ崎君。うん、楽しみだなあ。

 どうせなら、面白いものが持っていかれるといいんだけれど。

 羽ヶ崎君が軽く石を叩いて、ぼんやり光る。

 ……けれど、やっぱり、見た目の変化は無さそうだなあ。

「羽ヶ崎君、何が変わった?何が変わった?」

「いや、特に何も変わってないみたいだけど」

 羽ヶ崎君は手を握ったり開いたりしてるけれど、特に変わった感覚は無いみたい。

 うん、まあ、そういう事もあるよね。

「えー、何かないの?」

「いや、特に」

「ほんとにー?」

「うん」

 うーん、本人の自覚がない、っていうことは、体の変調じゃ、なさそう、だよね?

 だとしたら、何かなあ。

「本当に何もありませんか?」

「無いね」

「触覚は?」

「あるよ。なんならつつく?」

「味覚は?」

「味覚を試すなら羽ヶ崎さん、どうぞ。鈴本さんすら「甘すぎる」と言った甘味料です」

「そんなもの食べたくないんだけど」

 ……うーん。

「えー、じゃあ、記憶が一部欠落してるとか?」

「いや、無いと思うけど。流石に昔のことはあやふやだけど、普通レベル。っていうか、別に変わってないし」

 本人が変わってない、って言ってる、ってことは、本人も気づかないような変化、っていうことかな。

 でも、それって僕達はもっと気づかなくて当然なんだよなあ……。


「……で、そろそろ戻らない?」

 少ししたら、羽ヶ崎君がそう提案した。

 ここまでは普通だった。普通だったんだよ。

 でも、この後が明らかに普通じゃなかったんだよなあ。

「いい加減戻らないと、舞戸が心配する」

 ……明らかに、普通じゃないんだよなあ……。


「……え?羽ヶ崎君、今なんて?」

 ほらあ、あまりにも羽ヶ崎君が変なこと言うから、鈴本すらこの有様じゃないか。

「いや、舞戸が心配するだろ、って。それに今、舞戸、家庭科部の連中と一緒じゃん。このままにしておいたら可哀相でしょ、流石に」

 これは……僕達全員、苦笑いだったり、慄いた表情だったり。社長ぐらいだよ、何とも無さそうな顔してるの……。

「どどどどうしたの羽ヶ崎君!デレてばっかじゃん!」

「別に普通でしょ。何、デレって」

「舞戸さんの事をどう思っていますか」

「え、友達。あと、弱い分大変だろうなって思ってるけど。突然何?」

「デレッデレじゃねーか」

 もう、ここまで来ると僕ら全員、羽ヶ崎君がもっていかれたもの、何か分かっちゃうんだよなあ……。

「これは確実にツン部分がもってかれてますわー」

「皮肉屋な部分というか……間違いないですよねえ、これ……」

「つまり今の羽ヶ崎君はひねくれてない!」

 困惑気味な羽ヶ崎君には悪いけど、もうちょっと遊ばせてもらおうかなあ。




 いい加減遊んだ後、僕達は1つの悩みに直面してしまった。

「この石さー、砕かないで羽ヶ崎君このまんまにしといたら駄目なの?ん?」

「まあ、このままの方が何かと便利かもしれないけどさあ」

 羽ヶ崎君、結構いろんなことに気が付く人なんだな、って、今回分かったんだよ。

 でも、それを言ってくれないから僕達がその恩恵に与れることがあんまりないんだよなあ。

 つまり、このままツン減量羽ヶ崎君のままにしておけば、何かと便利、かもしれないよね。

「いや、砕こう。調子が狂う」

 けど、まあ、皆、砕く気でいるよね。最初に砕かないことを提案した鳥海も冗談だったわけだし。

「そだねー。砕……あっ!」

 ……でも、針生は気づいちゃったんだなあ。

「……これ、羽ヶ崎君が正気に戻ったらさ……俺ら、殺されない?」

 ……うん。否定できないのが悲しいね。

「いや、流石にそれは……あー、凍らされるぐらいは余裕でありますわ、これ」

「いやいやいや、でも戻さない訳にもいかないですよね!」

「……俺、もう羽ヶ崎君、このままでいい、かな……」

 つい僕らのノリで、ツン減量羽ヶ崎君で遊び倒した後なんだよなあ、これ。どうしようね。

「……正気に戻すのを舞戸の見ているところでやったらどうだ?多少、制裁が緩和されはしないか?」

「鈴本さん、それは甘いですよ。羽ヶ崎さんの事ですから、舞戸さんが見ていたら間違いなく悪化します」

「羽ヶ崎君、うっかり舞戸さん相手にデレちゃったら一生僕達恨むだろうしなあ……」

「舞戸さんは間違いなく喜ぶけどね……うわー、どうしよう!怖い!俺、すっごく怖い!」


 ……結局、じゃんけんで負けた角三君が石を砕いて、残りの人は避難してたんだけど、まあ、無駄だよね。全員一回は凍らされたよ。

 うん、羽ヶ崎君、酷いよね。え?僕らは酷くないのかって?えー、なんのことかなあ。




「ところでさ、もう俺達、ここにある灰色の石、全部持って帰るしかないよね」

 羽ヶ崎君の怒りと照れ隠しが収まった頃、針生が気づいちゃったんだよなあ。

 うん。ね。どれに何が入ってるか分からないから、ここにある石、全部砕くしかないんだけれど……ここで砕くのは、あまりにも危険すぎるからね。

「嫌だ……けどやらなきゃか……」

 どう見ても、ここに転がってる灰色の石、すごい量あるんだよなあ……。

「……ちょっと、休憩してからにしない?俺、なんか疲れた……」

「主に羽ヶ崎君のせいで。あー、ひどいなー、羽ヶ崎君のせいで俺疲れちゃったなー?」

「は?それはお前らの自業自得でしょ。僕のせいにしないでくんない?」


 ここでまた一悶着あったけれど、結局、「角三君と鳥海のマントに包んで持ち帰ろう。持ち切れなかったら往復しよう」って鈴本が提案して、それがそのまま採用されたよ。

 今まで割と、『マントって何のためにあるのかなあ』って思ってたけど、そうかー、こういう時のためにあるのか。

「しかし、お化け、か。……一番怖いのは間違いなく人間だな」

「真理ですね」

「……喧嘩売ってんなら買うけど?」

「あああ、ほら、とりあえず戻りましょう?」

 全員で石を集めながら、喧嘩が再勃発しかけたり、収まったり。

「んーと、とりあえず、ここであったこと、舞戸さんには内緒、ってことでいい?」

「だな。その方がいい。さもないと俺達の命が危ない」

「いや、鈴本も結構面白いことしてたよね?」

「……俺、社長にアンモニア嗅がされて鼻血出た事、言ってもいい?」

「言ってもかまいませんが、言って万一羽ヶ崎さんに話が波及した時、凍らされるのは角三さんですよ」

「……黙っとく……」

 うん。まあ、舞戸さんには可哀相だけど、ここであったことは内緒にさせてもらおう、っていうことで全員合意した。

 メイドさんだって、知らないことがあってもいいよね。


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