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なんてことはない試験後の一幕

時系列は1話前です。

視点は針生です。

とくになんてことはないテスト後の様子です。

「せーのっ」

ばっ。

……あ、よかったー。

「うん、分かってたよ。僕が最下位だろうっていうのは分かってたよ」

加鳥、驚異の8点。

「はああ!?何をどうやったら8点とか取れるわけ!?」

覗きこんだ羽ヶ崎君がすげえびっくりしてる。

「うん、僕は逆に、どうやったら87点とか取れるのか聞きたいかな……」

羽ヶ崎君は頭いいからなー。いいなー。

……えっと、今、英語のテストを全員で見せあってるとこ。

「針生は……」

鈴本が俺のテスト覗きこんで何とも言えない顔してた。

うん。だって俺、今回点数が新成人だったもん。絶対最下位だと思ってた。

「……あ、ぎりぎり角三君に勝った」

「舞戸に負けた、ってことは……俺、英語、平均以下かあ……」

舞戸さんの点数が57点。角三君が56点。ちなみに舞戸さんの英語の得点はここ3回連続してぴったり平均点。すごいよねー。

「あ、鈴本、俺と一緒ですね」

「刈谷も68点か」

その点数ちょっと俺に分けて欲しいなー。

「社長は?」

社長のを見たら。

「44点です」

……なんか不吉。

「え、なんで皆俺の点数見てくれないの?ねえなんで?ねえなんで?」

鳥海がによによしてるけど、絶対やだ。

「だって見たら元気なくなるもん、絶対」

「そっすか。ちなみに92点ね」

あ!やっぱり元気なくなった!酷い!

「僕と足すと100点になるねえ」

あああ、加鳥が、加鳥が……あああ、なんか生気が無い……。




「はいはーい、じゃあ次国語ね。俺90点!」

鳥海が自慢げにテストを見せてくる。

「甘い」

そんな自慢げな鳥海に羽ヶ崎君がテストを見せる。

「ば、馬鹿なッ!?」

羽ヶ崎君のを見たら、91点。

「羽ヶ崎君も甘い」

また自慢げにテストを出してきた鈴本のを見たら、94点。

……うわー。

「あー、くそ、同列かー」

悔しそうな舞戸さんの点数も94点。

うわー。うわー。うわー。

……結局、国語の最低点は角三君の62点だった。結構苛烈な争いだったね。

俺、68点だったからちょっと危なかった……。




「次物理ね。62点」

舞戸さんと鈴本と羽ヶ崎君は物理とってないから不参加。

「僕65点だよ」

物理は平均点が30点切る位だったから、加鳥のは結構凄い。

「俺50点だったわ……」

あれ、珍しく鳥海の出来が悪いみたい。

「そんな俺は23点なんだけどね」

今度こそ俺が最下位かなー。

「あ、大丈夫です。俺が18点です……」

あ、下には刈谷が居た。

「あ、よかった……俺29点」

「俺は44点です」

という事は加鳥が一番上で刈谷が一番下だ。

……あれ、なんかさっきから結構ばらついてるなー。


「ちなみに生物は?」

「98」

「羽ヶ崎君は凄いな。俺は88だ」

「78点で喜んでごめんなさい」

なんか全員下1桁が8だった。末広がりでいいんじゃないかなあ。あはははは。




……っていう風に楽しくやってた。

ほら、なんかさ、低い点とっちゃって落ち込んでもここで笑い飛ばせちゃえばちょっと元気になるじゃん?

俺はそうやって元気出してるんだよね。

「お前ら楽しそーね。何やってんの?」

……何時の間にか顧問の先生が来てた。

「あー、テストの見せあい?そうだ、聞いたぞー、羽ヶ崎。数学3C満点だって?」

「どこから聞いたんですか」

なんか羽ヶ崎君、いつにもまして言い方がつっけんどんだけど、つまり照れてるんだよなー。ふふふ。

「数学の稲村先生が先生捕まえてはその話を延々としてたぞ」

「そうですか」

あ、照れてる照れてる。

……俺、初めて羽ヶ崎君見た時、ガリ勉タイプでなんか刺々しいし、気の合わなそうな人だなー、って思ったんだけどさ。

今は色々分かってきたから、全然そういう印象無いや。

「ちなみに私は保健体育が満点でしたよ!先生!」

「俺も保体満点でしたよ!」

舞戸さんと鳥海は保健体育が満点だった。

「そうかあ、なんというか、何とも言えないよなあ……」

先生も微妙な顔してた。うん。だって保体だよ?微妙な顔になるよー。

「で、お前ら化学はどうだったのよ」

……。

化学、さあ。

……平然としてられるのは羽ヶ崎君と鳥海だけだよー。

「よし、お前ら、順番に点数を言いなさい」

「僕は87点です」

「俺は91点でーすっ」

うん、ホントにこの二人は頭いいよなー。いいなー。

「俺は74点でした」

「俺は77点です」

「71点です」

刈谷と鈴本と社長もそんなに悪くないよね。

「43点です」

「43だああ!?おま、加鳥、お前……化学部で何をやってきたの」

加鳥で驚いてちゃ駄目だよせんせー。

「……41点です……」

ほら、角三君が下回った。

「で、俺が38点です」

「おまえっちゅう奴はー!」

先生が呆れて怒って大変なことになってるけどさー。

「先生、でも舞戸さんが一番悪いです」

……そう言ったら、先生の顔が面白い事になった。

「驚異の1点です……」

……一応、さ。分かると思うけど、舞戸さんの代わりに弁明するね。

舞戸さん、問1が(1)と(2)の2つあるのに気づかなくて、(2)を飛ばして問2に入っちゃったんだよね。

で、解答欄が1つずつずれちゃって、で、凄く運が悪いことに、ずれても気づかないような解答用紙だったんだよ。最後の記述の解答欄が悪意に満ちてると思う。

「……なんだ、その、元気出しな?次は気を付けるんだぞ?」

「はい……」

ずれてなかったら70点台行ってたみたいだから、先生も慰めるしかできないみたい。

やー、でも舞戸さんのおかげで俺の点の悪さが有耶無耶になってあんまり怒られずに済んだー。よかったー。




ちょっと舞戸さんに申し訳ないけど、恙なくテストの見せあいは終了した。

「よし。じゃあテスト期間も終わったし、部活だ部活だ」

実は俺達、会うのがちょっぴり久しぶりだったり。

テスト期間中は部活禁止だからさ、会えなかったんだよね。

「実験実験」

「あれ、ガスバーナーが消えてる。先生、ガスバーナーどこですかー?せんせー?」

「やっべ揮発してるぅ」

「やっちゃいましたね、これは」

「先生どこですか!?さっきまでいたよね!?」

なんやかんやでこれ、楽しいんだよなあ。

……うん、次のテストまではこの楽しいのが続くんだから、まあ、いいか。


……で。

そうならなかった!

「はい、針生、イオン化傾向言ってみ」

「かそうかな、まああてにするな……」

「書いてみ」

「Ca、K、Na……」

「既に違うし!カリウムが先!お前はホントに何をやってきたんだっ!」

……先生がひたすら問題を解くことを強いて来るよー。

「もー!お前は羽ヶ崎あたりにでも教えて貰えっての!」

いや、分からないんじゃなくて、覚えられないのが原因だから……。

……って言ったら、また怒られた……。




……で。

今、部内でクイズが流行ってる。

うん。最初は俺とか、化学の点が悪かった人の為にやってくれてたんだけどさ。

その内……ほら、社長とか、凝り性だからさ、変なクイズとかいっぱい持ってきてさー、今は殆ど日課みたいになっちゃってる。

「第18元素は?」

「ヘリウムネオンアルゴンクリプトンキセノンラドン」

「コバルトの下は?」

「ロジウム。その下がイリジウムでその更に下はマイトネリウムだっ!」

「111番は?」

「レントゲニウム!」

うん。たとえば、周期表クイズ。

今、俺達周期表を丸暗記せんとする勢いで周期表クイズやったり。

「青の炎色反応は?」

「ガリウムー」

「塩化銅もだよ。塩素が入ると銅も青くなるよ」

こういうクイズになったり。

「電気伝導性が最も高いのは?」

「銀ですね。次が銅でその次が金です」

こういうクイズになったり。

「鉛は水銀に沈みますか?」

「えっと……沈むんじゃないですか?えっと、水銀の方が軽いですよね?」

こういうクイズになったり。

……でも、こういうクイズって、結局あんまり化学のテストの役には立たないんだよね……。

ま、楽しいからいいんだけどさ。あははは。




……いや、随分後になって、微妙に役に立ったりもしたんだけどね。

うん。やっぱ馬鹿にできないわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] コカンニナメクジモグラセテ、アレをズンズンフエ(略)ソンナニプレイボーイクールにエッチ…… 荒らしじゃないよ。 イオン化(略)語呂合わせだよ。
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