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第八章 魔導塔 ヌヴェン・ギゼ (五)
(五)
――目覚めは突然だった。
ミスティンキルは身体を激しく揺り動かされながら起こされた。彼を起こしたのはしかし、ウィムリーフではない。アザスタンだ。
時は移り、今や夕暮れ時のようだが、日が山裾に隠れるには少しばかり時間が早い。
「アザスタン……? どうした?」
なかば気分を害しつつ、ミスティンキルは訊いた。
「起きろ。いよいよ由々しき事態になるやもしれぬ」
アザスタンの様子を見るに、なにやら尋常な様子ではない。彼がこのように動揺するさまなど見たことがない。なにか嫌な予感がする。ミスティンキルは些末な感情をぬぐい去り、アザスタンの顔を見上げた。
「聞け。ウィムリーフが飛んでいった。オーヴ・ディンデに向けてまっしぐらだ」
「飛んでいっただと?!」
眠気など一瞬で吹き飛んだ。がばりとミスティンキルは飛び起きた。




