第6話
戦場と化したA-7区画は、地獄のような様相を呈していた。
崩れたビルの瓦礫が散乱し、あちこちで火の手が上がっている。
空には不気味なデビルズが飛び交い、地上では異形のデビルズが正規軍の防衛ラインを突破しようとしていた。
銃声、爆発音、兵士たちの怒号、そして市民の悲鳴。
あらゆる音が混ざり合い、鼓膜を激しく揺さぶる。
硝煙と埃の匂いが鼻をつき、肌がピリピリと痛む。
俺は移動指揮車両の中から、ホログラムディスプレイに映し出される戦況を睨みつけていた。
「バニー・フォース、各員、最終チェック完了。いつでもいけます!」
ミナの元気な声が通信機から響く。
その声には微かに震えが混じっているが、彼女なりに勇気を振り絞っていることが伝わってくる。
「狙撃ポイント確保。目標座標、共有済み」
冷静なアイリの声。
いつも通りの無感情な口調だが、よく聞くと僅かに緊張が滲んでいる。
「後方待機。サポート準備、完了です」
カレンの少し震えた声。
初めての実戦に対する不安が、そのか細い声に表れている。
三人は既に持ち場についている。
ミナは最前線近くのビルの陰、アイリは半壊した高層ビルの屋上、カレンはやや後方の安全地帯だ。
小型カメラからの映像を通じて、俺は三人の姿を確認する。
ミナの逆バニースーツは鮮やかなオレンジ色。
黒い光沢のある生地が腕と脚を包み、その対比で胸から腹部、背中にかけての露出部分が強調されていた。
小麦色の健康的な肌が戦場の薄暗い光の中でも輝いている。
頭の長いうさ耳が風に揺れ、彼女の緊張した呼吸に合わせて起伏する胸が、スーツから露出する谷間をより深く見せていた。
アイリの逆バニースーツは氷のような青。
全身を包む艶やかな紺色の生地と、露出した雪のように白い肌とのコントラストが鮮明だ。
狙撃ポジションを取るため屋上の手すりに伏せる姿勢から、しなやかな背中のラインが浮かび上がる。
集中時に微かに噛む下唇と、緊張で引き締まった腹部の筋肉が、冷静さの中にある人間らしさを垣間見せる。
カレンの逆バニースーツは優しい薄紫色。
柔らかく丸みを帯びた体のラインに沿って、ほのかに透ける素材が肌を包み込んでいる。
その素材は光を通し、彼女の肌の質感をより一層魅力的に引き立てる。
彼女が緊張で胸を上下させるたび、その柔らかな膨らみが揺れ、白い襟とリボンタイが彼女の首筋の細さを際立たせている。
「速水大尉、状況は?」
俺は正規軍の指揮官に通信を入れる。
『最悪だ、真田! 奴ら、兵士たちの恐怖を吸い取ってやがる! このままじゃ全滅だ!』
速水の焦燥しきった声。
状況は俺の予想以上に悪い。
「了解した」
俺は腹を括る。
「バニー・フォース、作戦開始! ミナ、前線へ! 敵の注意を引きつけろ!」
『了解! 見ててください、司令官! あたしのデビュー戦!』
ミナの威勢のいい声と共に、オレンジ色の閃光が戦場を駆け抜けた。
ビルの陰から飛び出した彼女は、一直線にデビルズの群れへと突っ込んでいく。
彼女の健康的で引き締まった太ももが、黒い光沢のある生地に包まれながら筋肉を躍動させる。
走るたびに露出した腹部の筋肉が波打ち、バニー耳が揺れる様子は、恐怖の戦場にあっても妙な色気を放っていた。
その常識外れの姿に、前線の正規兵たちが唖然とする。
「な、なんだありゃ!?」
「ふざけてるのか、この状況で!」
兵士たちの動揺と困惑の声が交錯する中、あるベテラン兵が思わず舌打ちしながらも目を離せずにいるのが見えた。
彼らの動揺をよそに、ミナはデビルズの集団に飛び込む。
その瞬間、デビルズから放たれた不可視の恐怖の波動が彼女を襲う。
ミナの体がわずかに震える。
彼女の露出した肌が一瞬ゾクゾクと粟立ち、小さな鳥肌が浮かぶ。
冷たい恐怖が彼女の背筋を駆け下りるのが見てとれる。
だが、彼女は叫んだ。
「恥ずかしいなんて、言ってる場合じゃないんだからぁっ!」
彼女の全身から、眩いばかりのピンク色のオーラが迸る!
それは恐怖の波動を打ち消し、逆に周囲のデビルズを怯ませた。
そのオーラは彼女の露出部分から特に強く放射され、まるで彼女の肌そのものが光を発しているかのようだ。
汗で潤んだ肌が、その光を反射して宝石のように輝いている。
「司令官! 効いてます! このスーツ、本物です!」
モニターに映るミナの姿は、驚くべきことに、以前のシミュレーションよりも輝いて見える。
羞恥心と恐怖を力に変える逆バニースーツの能力が、実戦の圧倒的な状況下でさらに高まっているのだ。
彼女の胸元から腹部にかけての露出部が、特に強烈な光を放っている。
「よし! アイリ、援護射撃! カレン、ミナのバイタルを監視、必要ならサポート!」
俺は冷静に指示を飛ばす。
内心では、このスーツの異常な効果に驚愕していたが。
『了解。目標、ロックオン。排除』
アイリは冷静沈着に狙撃姿勢を取る。
彼女の青白い肌が月光のように輝き、整った容姿がスーツの冷たい色調と相まって、氷の女神のような美しさを放っていた。
狙いを定める際、彼女の露出した腹部が緊張で硬くなり、呼吸を止める瞬間、胸の上下動が止まる。
彼女の指先が引き金に触れた瞬間、彼女の全身から青白い光が放射され、その光が銃身を伝って放たれる。
アイリの放つ光の矢が、次々とデビルズを貫く。
精密無比な射撃だ。
命中するたびに、彼女の体から放たれる光が一瞬強くなり、青白い肌がさらに神々しく輝く。
『ミナさん、エネルギーレベル低下! 回復フィールド展開します!』
カレンのやわらかな声と共に、彼女の体から柔らかい紫色の光が広がる。
回復フィールドを発動する際、彼女の体が弓なりに反り、胸が前に突き出すように見えた。
彼女の肌から滲み出る光は、まるで彼女の純粋な心そのものが具現化したかのように柔らかく、温かい。
カレンの柔らかな光が、前線で戦うミナを包み込む。
ミナの動きに再び力が戻る。
その瞬間、二人の光が交わり、一瞬だけ鮮やかなパープルピンクの閃光が走る。
三人の連携は、まるで長年訓練を積んできたかのように完璧だった。
いや、それ以上だ。
互いの能力を増幅し合っている。
一人一人の羞恥心が、他のメンバーとの絆によって増幅され、さらなる力を生み出しているようだ。
『真田! 何が起こってる!? デビルズが後退し始めたぞ!』
速水の驚愕の声。
「これがバニー・フォースの力だ。速水、今が好機だ! 正規軍は反撃に転じろ!」
『お、おう! 全軍、反撃開始! あのバニーガールに続け!』
戦況が一気に傾き始めた、その時だった。
人間の三倍はあろうかという巨体で、しかも人型に近い、ひときわ大きく、禍々しいオーラを放つデビルズが、地割れの中から出現した。