第4話
翌日、俺は早速、彼女たちの基礎能力を測るためのシミュレーション訓練を開始した。
場所は広大なシミュレーションルーム。
天井高く設計された空間に、都市部を精密に模したフィールドが広がっている。
壊れたビル、放置された車両、狭い路地――実戦さながらの環境だ。
俺は中央の指揮ブースから全体を見渡せる位置に立ち、汗ばむ手のひらで制服の襟元を軽く緩めた。
「準備はいいか」
ブースの下には、既に逆バニースーツを装着した三人が整列している。
……何度見ても、この光景は現実感がない。
橘ミナは、健康的な小麦色の肌が眩しく、丸みを帯びた胸から平らな腹部にかけての曲線が大胆に露出している。
黒い艶やかな生地が腕や脚をぴったりと包み込み、かえってその間の露出部分が際立っていた。
オレンジ色のポニーテールが弾けるように揺れ、頭の上のうさ耳と相まって彼女の明るさを引き立てている。
隣に立つ白雪アイリは、逆に肌の白さが際立っていた。
彼女の逆バニースーツは紺色で、露出部分と覆われた部分のコントラストが鮮明だ。
ほっそりとしながらも確かな膨らみを持つ胸元、引き締まったウエスト、なめらかな背中のラインが洗練された美しさを放っている。
長い銀髪が時折風に揺れ、冷たさの中に漂う儚さを感じさせた。
そして早乙女カレンは、薄紫色の逆バニースーツに身を包み、うつむき加減に立っていた。
ほのかに桜色に染まる頬、柔らかな曲線を描く露出した肌、少し丸みを帯びた胸と腰のラインが、彼女の優しい雰囲気と見事に調和している。
時折チラチラと周囲を見る仕草が、彼女の恥じらいと不安を物語っていた。
周囲の男性スタッフたちの好奇と憐憫の入り混じった視線が痛い。
いや、好奇心だけじゃない。
明らかに彼女たちの体に視線が釘付けになっている。
俺は不快感を覚えながら、咳払い一つで彼らを黙らせた。
全員が姿勢を正し、視線を逸らす。
「まずは橘からだ。前線突破能力を見せてもらう」
「はい! お任せください!」
ミナは元気よくフィールドへ飛び出す。
胸が上下に弾む様子が目に入り、思わず視線を外した。
こんな格好で戦えというのが、そもそも無理がある。
だが、命令は命令だ。
彼女たちを守るために、俺は最大限の能力を引き出さねばならない。
シミュレーション開始の合図と共に、仮想のデビルズが複数出現する。
その瞬間、ミナの雰囲気が変わった。
さっきまでの能天気な笑顔が消え、獲物を狙う獣のような鋭い眼光が宿る。
彼女は驚異的なスピードとアクロバティックな動きでデビルズを翻弄する。
跳躍、回転、回避。
その動きはまるで舞踏のようだ。
ミナの体が宙を舞うたび、露出した肌が光を反射して輝き、汗の粒が煌めきながら弧を描く。
デビルズの攻撃をかわすための後方宙返りの際、一瞬だけ見える腹部の筋肉の緊張、着地の衝撃を吸収する太ももの震え。
そして、敵の攻撃が彼女の露出した肌に触れる寸前、青白い光のバリアが展開され、攻撃を完全に弾き返す。
まるで彼女の肌から発せられる光のように見える。
「司令官! 見ていてくださいっ!」
戦闘の合間に、彼女は頬を紅潮させながらこちらに手を振る。
その姿は妙に色っぽい。
鼓動が高まるのを感じ、俺は思わず目を逸らした。
……本当に恥じらいゼロなのか、こいつは。
いや、よく見ると、鎧のような笑顔の下に、僅かな緊張と恥じらいが隠されているようにも見える。
彼女なりに精一杯振る舞っているのか。
次に白雪アイリ。
彼女はフィールドの高台に瞬時に移動し、狙撃銃を構える。
その姿は一点の乱れもない。
「目標捕捉。排除開始」
淡々とした声と共に放たれる光弾は、寸分の狂いもなくデビルズのコアを撃ち抜いていく。
まさに「氷の戦術家」だ。
感情の欠片も見せないその戦いぶりは、ある意味ミナよりも異様に見える。
だが、銃を構えるたびに、露出した胸元や腹部の筋肉が緊張で硬くなるのが見て取れた。
彼女の白い肌に薄っすらと浮かぶ汗の粒が、青い照明に反射して幻想的に輝いている。
銃声と共に彼女の銀髪が風になびく様は、凛としていながらも儚げで美しい。
視線を上げると、そこには的を射抜く彼女の冷たい瞳と対面した。
一瞬だけ目が合い、彼女の耳が僅かに赤くなったのが見えた気がした。
最後は早乙女カレン。
彼女の役割は直接戦闘ではなく、サポートである。
シミュレーションで「負傷」したダミーに駆け寄る姿は、まるで天使のようだ。
彼女がそっと膝をつき、ダミーに手を触れると、柔らかな光がダミーを包み込み、「損傷」が回復していく。
カレンがかがみ込むたび、露出した背中のラインが滑らかなS字を描き、腰のくびれが際立つ。
彼女の脇腹に浮かぶ汗の雫が、そのまま腰のラインに沿って流れ落ちる様子に、思わず目が釘付けになる。
癒しの光が彼女の体を包み込むたび、肌が淡く発光するような錯覚すら覚えた。
「あの……わたし、もっと頑張らないと……」
彼女は少し申し訳なさそうに言いながら、そっと俺の方を見上げる。
その潤んだ瞳と頬の赤みが、胸を締め付けるほどの愛らしさだった。
回復効果の高さは、彼女の精神力の強さを物語っている。
個別評価の後、チーム連携訓練へ移行する。
ミナが前衛で敵を引きつけ、アイリが後方から的確な狙撃で援護し、カレンが二人の状態を常に把握し、必要に応じて駆け寄って回復していく。
三人の動きが完璧に噛み合い、まるで長年共に戦ってきたかのように連携している。
ミナの躍動感あふれる動き、アイリの冷静な判断、カレンの繊細なサポート。
それぞれの逆バニースーツから放たれる光が交差するたび、彼女たちの肌が幻想的に輝き、まるで戦いながら舞を踊っているかのような美しさがあった。
汗で輝く肌、緊張で引き締まる筋肉、息遣いの荒さ。
それらのディテールが、彼女たちの「戦士」としての一面を際立たせている。
露出度の高いスーツが、かえって彼女たちの戦いに緊張感と生々しさを与えていた。
思わず見入ってしまう俺自身に気づき、慌てて平静を装う。
俺は内心の驚きと動揺を押し殺し、訓練終了を告げる。
「能力は認める。だが、実戦はシミュレーションとは違う。油断するな」
「はい!」
三人が汗を拭いながら返事をした、まさにその時だった。
けたたましい警報が施設全体に鳴り響いた。