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17.皇都へ向かう

「覚えていないかもしれないけれど。フーフィレエは幼い頃に皇都に行ったことがあるのよ」




 私たちは現在、馬車に乗って帝都へと移動している。その馬車の上空では、ユーシュが飛んでいる。

 これからフーちゃんを連れて私たちは帝都へ向かうの。私も仕事をしばらく休んでいたから、気を引き締めないと。長い休みの後だと、休み気分が抜けないのよね。




「全然覚えてない……。皇都に行ったら、思い出せるかな」



 お母様の言葉にフーちゃんはそう言いながら、窓の外を見ている。色々と思うことが沢山あるのだろうなと思う。



 折角フーちゃんが帰ってきてくれたのだから、皇都での思い出を良いものにしないと。



 フーちゃんが皇都で嫌な思いをしないように注意を払うのも怠らないようにする予定。最も私達リュシバーン公爵家を敵に回そうとするような存在はあまりいないけれど。

 だけどそういう大丈夫という気持ちが、フーちゃんを失ってしまうことにきっとつながってしまったのだと思う。……お父様やお母様は特に後悔をしていて、凄く過保護になっていた。

 私が自分の身を自分で守れるようになってからは自由に動けるようになったけれど、それまではかなり過保護だった。




「お兄様たちもフーフィレエに会うのを楽しみにしているからね」

「なんだか自分が皇族の血を継いでいるなんて何度聞いても不思議な気持ちになるわ」

「そんな風に思う必要はないわ。だってあなたは私の血を引く娘なのだもの」




 お母様がそう言ってにこやかに笑う。

 フーちゃんが見つかってから、お母様はいつもにこにこしていて私は嬉しい。フーちゃんが生きていてくれて、こうしてまた再会出来たことを思うと自然と笑顔になる。




「お母様、フーちゃんをパーティーとかお茶会に連れて行ったりするでしょ? 私も一緒に行くから」

「普段は中々参加してくれないのに、フーフィレエが一緒だと参加する気満々ね? ふふっ、ユーフィレエは可愛いわね」




 私の言葉にお母様は笑って、頭を優しく撫でてくれる。

 私はもう子供じゃないのになぁと思うけれど、お母様からすると私はずっと子供なのかもしれない。




「ユーちゃんは、あんまり社交界に出ないと言ってたけどそんなに出ないの?」

「そうよ。ユーフィレエってば、社交界に出るより仕事をしたいって中々出てこないの。だからね、ユーフィレエの着飾った姿を沢山見れるのが私は嬉しいと思っているわ。しばらく社交界が騒がしくなるわね」




 私が仕事ばかりしていたのは……フーちゃんを探すためだった。

 竜騎士としてありとあらゆる場所を見て回ることが出来れば、いつかフーちゃんが見つかるかもって思っていたから。



 これからはなるべく国内にいるつもりだけど、フーちゃんも私がずっとべったりしていても疲れるだろうからどういう生活をしていくかは考えないと!

 フーちゃんがこれからやりたいこととか見つけたらそれを全力で応援したいしね。




「そうだね。こんなに可愛いフーちゃんが社交界デビューするしね!! フーちゃんにはきっと婚約の申し込みも沢山来ると思うわ。でもフーちゃんがすぐに家を出るのは悲しいからゆっくり選んでもらえると嬉しいかも」

「ユーちゃん、私にはそんなに来ないと思うよ?」

「ううん、そんなことないわ。フーちゃんは自分の価値を分かってないわ。幾らでもフーちゃんと縁繋ぎになりたい男性は出てくるはずよ。選び放題なんだから!!」




 フーちゃんは私の双子の妹で、リュシバーン公爵家の娘で、こんなに可愛い。私たちが大切にしている宝物なのだもの!

 変な男性が近寄ってこようものなら全員私が排除する。




 フーちゃんはやっぱりまだまだ自分自身に対する自覚があまり出来ていないのだと思う。

 パーティーとかに出たら、自分がどういう立場であるかとかちゃんと実感してもらえるかな。




「ユーフィレエの言う通りよ。フーフィレエ、貴方には婚約者もいない状況だから、沢山の申し込みが来るわ。というか、もう今も既に来ているもの」

「……そうなの?」

「ええ。だから気になる方とは会ってみてもいいし、パーティーで会った方と仲を深めてもいいわ。フーフィレエが選んだ相手に問題があったら止めるかもしれないけれど、そうでなければどんな相手でも応援するわ」



 お母様がそう言って嬉しそうな表情をしている。



 私とセドラックの結婚式がそのうち行われる予定で準備は進めているけれど、フーちゃんが結婚するとしたらどんな相手とになるんだろう? 色々考えると楽しいけれど、寂しいみたいなそういう気持ちでいっぱいになる。



 フーちゃんはお母様の言葉を聞いてもやっぱり現実味がないのか、ぼけーとした表情を浮かべている。

 そういうフーちゃんの顔を見ていても可愛いなと私とお母様はずっとにこにこしてしまうのであった。




 皇都までの道のりはずっと楽しかった。

 あっという間の道のりを経て、私達は皇都へとたどり着いたのだった。



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