窓口係のお仕事《1》(改編)
さてさて一人目は。一枚目の書類に目を通す。なになに・・・。負けない勇者になりたいですって。相談窓口は何をやってるのかな?ちゃんと仕事してほしいよ。こんな曖昧な希望届でいいと思っているのかな?とりあえず話を聞くか。
<赤い番号札1番をお持ちの方、転生受付窓口1番までお越しください>
少し待つと一人の男性が現れた。見たところ60代だろうか。頭は真っ白で頰がこけ骸骨っぽい見た目をしている。
「転生希望届を拝見しましたが、もう少し詳しくお話をお聞かせください。勇者をご希望されていらっしゃいますが、戦う相手はドラゴンとか、魔物とかですか?それとも人間と戦いたいですか?」
「前の方にも言ったんですが、強ければ何でもいいです。とにかく負けなくて人から尊敬されるのがいいです。」
「おそらく、前の担当の者から聞いていると思うのですが、こちらでは転生する世界を決めるだけで、強くなるかどうかはご本人の努力と才能によります。才能はランダムとなりますので転生してみないとわかりかねます。」
「それってどういうことですか?私はまた弱い男に生まれ変わるんですか?」
「弱いかどうかはわからないですが、勇者という職業を選択された場合、ある程度の実力を伴っていると思います。弱いと勇者になれませんので。」
「なるほど。ではドラゴンと戦う勇者になりたいです。」
「かしこまりました。次に本来であればそのお姿のまま転生するのですが、オプションでご希望の姿に変更出来ますが、どうされますか?」
「オプションというのはお金がかかるということでしょうか?お金持っていないのですが・・・。」
「お金は出世払いとなりますので大丈夫ですよ。出世出来なかった場合は免除されますのでお気になさらずに希望を仰ってください。」
「では、あの、厚かましいのですが、可愛い若い女の子になりたいです。」
「性別もですか?性別もということでしたらかなりの金額になり稼いだ分全額返金になるかもしれませんが大丈夫でしょうか?こちらと致しましては年齢がまず必要で、容姿もある程度という形をお勧めいたします。性別は出来れば諦めた方がいいと思います。」
「そうですか。残念です。一度女の子になりたかったのですが・・・。」
「それはまたの機会ということで、どうでしょうか?」
「わかりました。それで大丈夫です。」
「では最後に確認ですが、ドラゴンのいる世界に若い男性で転生でよろしいでしょうか?書類に目を通していただき良ければ署名をお願い致します。名前の変更も同時に行いますので変更希望であれば記入をお願い致します。」
「わかりました。」
しばらく男性は書類に目を通し、署名をした。
「では、これで手続き完了ですので、次の部屋にお進みください。幸せな人生を送れますように祈っております。」
「お世話になりました。」
よし、1人目終了!