転生受付窓口はまだまだ先だ
よく見ると転生受付窓口はいくつもあった。どのカウンターに行けばよいのか全くわからない。そもそも違いがあるのかもわからない。受付窓口よりも案内所を見つけないといけないな。と思った瞬間、
「どうかされましたか?」
と、声を掛けられた。振り向くと、しにがさんが微笑んでいる。
「しにがさん、戻ってきてくれたんだ。」
心細さが一掃されホッとしたのも束の間、
「わたくし、しにが みづほと申します。」
と、言われた。べっべつじん!?この場合は人ではないけど・・・。
「すみません、人違いでした。」
人ではないけど(二回目)・・・。
「いえいえ、大丈夫ですよ。私たちも区別がつかないので。」
驚きと困った様子が伝わったのか、腕章を見せながら、
「わからないと思うので説明すると、私たちはみんな腕章と名札を付けています。名前も似ているので番号がそれぞれ明記されています。わからなければそちらをご確認ください。」
顔も名前も似ていたら見分けるのは無理だな。
「そうなんです。難しいんです。」
心を読まれた。これ以上心を読まれるのは嫌なので質問する。
「あの、転生するにはどうしたらいいのですか?」
「希望届は提出されましたか?」
「希望届?まだです。それは何処にあるのですか?」
「心は決まっていらっしゃいますか?」
「心?」
「はい、何に転生するかです。」
「それは・・・。話を聞いてから決めようかと。」
「では、相談窓口のほうですね。こちらの番号札をお持ちになりあちらに掛けてお待ちください。」
と言って小さな紙を手渡し、待合室らしき場所を示す。
「ありがとうございます。」
俺は待合室の一番奥の空いた席に座って番号札を見た。4632番!?一体どのくらい待たないといけないのだろうか。不安に思っていると、
「青いお札3987番の番号札をお持ちの方は相談窓口96番までいらしてください。」
という銀行の案内みたいなアナウンスが聞こえた。窓口っていっぱいあるんだな。良かった。