死後の世界はスイートルーム?!
第1話
俺、死んだのか?
あれはどう見ても俺だよな?
すごい血だな。即死かな?
えっと、この後どうすればいいんだ?ここにいていいのか?死んだ後ってどうすればいいんだよ?誰にも教えてもらってないぞ!
「失礼致します。水野修二様でございますね?」
「えっ?誰?」
「私、死亡後相談センターの水野様を担当させていただきます、しにが みづきと申します。今からセンターの方にお連れいたします。少し目をお瞑りください。」
一瞬、空気が冷たくなった。
次の瞬間小さな会議室らしき場所にいた。
「そちらにかけてお待ちください。今お飲み物をお持ちいたします。コーヒーでよろしいですか?あっすみません。水野様は紅茶派でしたね。失礼致しました。しばらくお待ちください。」
何故知ってるのかは少し気になるけど、そんなのどうでもいい。ここがさっき言ってた相談センターなのだろうか。
「お待たせ致しました。」
紅茶を前に置きながら、しにがさんが前の椅子に座った。
「では、説明を始めますね。」
「?」
「ご存知かと思いますが、水野様は先程お亡くなりになりました。この後のことを相談したいのですが、死亡後は大きく分けて死後の世界に行くのと、転生というのがございます。ちょっとお待ちくださいね。」
と言って、しにがさんはファイルを確認する。
「水野様は、特に大きな犯罪を起こしておりませんので死後の世界を選択された場合、天国に行くことになります。その場合は今の年齢、今の容姿のままということになります。ちなみに服装は皆さんお揃いの物となります。ここまでで何か質問はございますか?」
「だい、じょう、ぶです。」
と、言いかけて自分の姿を確認する。
「あの、血まみれなのですが、どうなりますか?」
「その点につきましては死ぬ1年前まで遡り、1番良いお姿になるようになっております。」
「なるほど。わかりました。」
本当にわかっているのか?とりあえずわかっていると答えたが、頭が追いつかない。ほとんどわかっていないのに話がどんどん先に行ってしまう。
「では、次に転生についてですが、これが凄く人気でして、うーん、今からだと2ヶ月ほどお待ち頂かなくてはならないと思います。3ヶ月を過ぎると自動的に死後の世界、水野様ですと天国なのですが、そこに移動になりますので、転生を希望されても手続き次第で間に合わない可能性がございます。そのことはご了承ください。」
「は、い。」
本当に訳がわからないけど、時間制限があることだけは確かだな。
「ここまでは大丈夫ですか?」
「転生の場合はこの姿のままですか?」
「えっとですね。転生について今から説明いたしますね。」
先走ってしまい気まづくなってしまった。
「あっ。すみません。」
「いえ、では転生についてですが、一から始める場合、つまり赤ちゃんからやり直す場合は、今の記憶が全て無くなり、関係者の所に生まれることになります。この場合の関係者とは生前知り合った方、全ての方が対象となります。全ての方となりますので嫌いだった方の所に生まれる可能性もございますが、記憶は無くなっておりますので、何となく馬が合わないくらいになるかと思います。」
しにがさんが一気に話す。
「もう一つ、今の状態のまま転生を希望される場合は、数ある中の1つの異世界へ転生という形になります。」
「異世界って、いっぱいあるのですか?」
「はい、今わかっているだけで数万個はございます。」
「どういう世界があるのですか?」
「そうですね。異世界に関しては、転生を希望されてから、転生受付窓口に行ってから詳しく話を聞いていただきます。あくまで私は、死後の相談までのお手伝いですので、申し訳ございません。」
「わかりました。転生するかどうか決めるのはいつまでですか?」
「3日間、つまり72時間以内に決めていただきます。それから天国へはその日のうちに、転生の場合は手続きの準備をしていただきます。」
「おわかりいただけましたでしょうか?」
「何となくですが・・・。」
「皆さん、そんな感じですよ。突然ですからね。3日間はセンターがお世話させていただきます。こちらのビルの上がホテルになっておりますので、水野様は158階の158263号室をお使いください。部屋にある物は自由に使っていただいて構いません。食べ物や飲み物は取る必要はございませんが、一応ご用意しておりますので好きなだけお召し上がりください。質問がなければお部屋にご案内いたします。」
質問?何を聞いていいのかわからないから、
「では、お願いします。」
と、答えた。
「わかりました。少し目をお瞑りください。」
「こちらが水野様のお部屋でございます。何かございましたらお呼びになってください。私はこれで失礼致します。」
消えた。
部屋はすごかった。ホテルのスイートルームみたいだ。スイートルームに泊まったことはないけど・・・。至れり尽くせりとはこういう事だろうと思えるほど、色々な物が用意されていた。俺の愛読書の漫画が全巻揃っているし、カラオケの設備やゲームソフト等も揃っている。一先ずベッドに腰掛けた。