接触
とりあえず書き溜めてる分投稿!
~護衛艦「あまぎ」艦橋~
「しかし異世界って言っても、海は変わらないね」
そう言ったのは護衛艦「あまぎ」艦長、小野寺成美一等海佐。
「ですね」
答えたのは「あまぎ」副長、大宮真司二等海佐。
ちなみに「あまぎ」とは、日本が初めて作った戦闘機搭載護衛艦である。
艦載機は航空自衛隊のF-35B。
航空母艦ではない。あくまでも『戦闘機搭載護衛艦』だ。
一番艦として「にいたか」がある。
「気象班から連絡!前方に熱帯低気圧確認!」
「異世界でも熱帯低気圧はあるのね……各部配置。嵐に備えよ」
「了!」
艦隊は嵐に入った。
***
~護衛艦「こんごう」CIC~
「レーダーに感!方位0-8-0、距離8000!」
「機種はわかるか?」
「照合中……データなし、UNKNOWN!」
「国籍不明機……ま、異世界だしそりゃそうか」
「艦長、どうします?」
「『にいたか』に報告。対空見張り厳にせよ」
「了!」
***
~護衛艦「あまぎ」艦橋~
「『にいたか』より通信!ヘッドセットでの通信がいいらしいです」
「あ、うん」
成美艦長がヘッドセットを付ける。
「こちら護衛艦『あまぎ』艦長の小野寺です」
『群司令の宮内だ。先程、『こんごう』が国籍不明機を発見した。戦闘機を発艦させ、調査してもらいたい』
「はぁ……わかりました」
『米軍の「ロナルド・レーガン」も戦闘機を発艦させるらしいから、一緒に頼むぞ』
「了解」
通信が切れる。
「サクラ隊を発艦させろ。もちろん、カメラを搭載して」
「了!」
「あまぎ」から10機のF-35Bが発艦。
同時刻、「ロナルド・レーガン」からも10機のF-35が発艦した。
「壮観だな……」
「総勢20機ですしね」
F-35は音速で飛んでいった。
***
――side とある米軍パイロット
俺の名前はロバート・スミス。階級は大尉だ。
アメリカ空軍に所属している。今、新世界の空を飛んでいた。
民間機は飛ぶのが今のところ禁止されてるから、新世界の空を初めて飛んだのは俺達って事になる。
異世界の空を飛ぶなんて、普通ならありえない事だ。
音速だと敵機……じゃなくて、国籍不明機を見逃すかもしれないから、速度を滅茶苦茶おとして飛んでいる。
少し遠くを見ると、日の丸が描かれたF-35Bが同じ速度で飛んでいる。
空自の戦闘機だ。だが、その奥に何か見えたような……
『……ドラゴン?』
神話や、日本のマンガに出てきそうな堅い鱗に身を包み、巨大な羽根を携えた生物が飛んでいる。
速度は300㎞/hくらいだろうか。上に人が乗っている。
とりあえず任務の主目的である写真を撮る。もう一つの目的である平和的接触もしてみようか。
無線は通じないだろうし、どうするか……
そんなことを考えてると、空自の戦闘機が羽根を振っていた。パンクって奴か。
通じるかはわからないが、俺もやってみる。……通じてないようだ。
向こうはこちらに驚いてるのか、高度を下げたり上げたりしている。
***
――side とある航空自衛官
俺の名前は二宮正人。一等海尉だ。
今、ドラゴンと意思疎通をしようとしている。
「通信通じるかな……」
通じるわけないが、無線回線をオープンにする。
「こちら日本国航空自衛隊、日本国航空自衛隊。応答せよ」
応答しないよな……と、思ったとき、無線に音声が入る。
『こちらフェロー王国第三飛龍隊、隊長のカミだ』
「通じるのかよ」
思わずそう言ってしまった。
***
――side とある米軍パイロット
「いや日本語かよ」
思わずそう言ってしまう。ドラゴンジョッキーの格好は完全なるヨーロッパだが、
言語は日本語に酷似しているようだ。というかモロ日本語。俺、習ってるからわかる。
そんなことを考えていると、空自のパイロットが回線をオープンにしたままで話し始める。
「えー、こちらは航空自衛隊の隊員です。あなた達はこの世界の住人ですか?」
『この世界?』
「あー……えっと、あとで貴国に行きますから、場所を教えてくれませんか?」
「ああ、わかった」
とにかく、この世界の国と接触できた。
***
~護衛艦「あまぎ」艦橋~
「この世界の国に接触できたんだ……」
「みたいですね」
「日米の外交官を連れてきてよかったね」
「いざという時戦法の勝ちです」
「なに、その戦法」
「さあ?」
「雰囲気だけで話さないでよ」
「ごめんなさい」
夕日新聞 号外
海上自衛隊及びアメリカ海軍が新世界に派遣された。
今回の派遣は気象衛星「おおゆり」から送られた衛星写真に
映っていた新大陸の調査及び文明との国交締結を目的としたものである。