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転生したら(公社)魔法協会附属鍼灸院の院長になった  作者: MC sinq-c
第二章 魔法協会セミナー編
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モグサが無い!

「ふーん、昨日の夜にカヤちゃんの料理を食べ過ぎたから、暖炉で温めていた丸石を脚に乗せているんだね」

「アカネ! 言い方悪くない? まるでアタシの料理で身体壊したみたいじゃん。お腹に負担が掛からない魔法をかけてたのに、武光が食い意地はるからいけないんだからね!」


 ……残すとブースカ文句を言うのを知っているから、昨日は特に気を使って全て『処理』したんだよ、と言ったらまた胃が痛むことになるから黙っておこう。

 昨日のドタバタとは関係なく今日も(公社)ボッカイ魔法協会附属しんきゅういんは通常オープンだ。

 だが、疲れとストレスが溜まっていたのか今日は朝から胃が痛む。アカネの万能薬(チートドラッグ)に頼っても良かったが、試してみたいこともあったので治療の合間に胃腸の調子を整えるツボである足三里にお灸を据えている。


「本当はこうやって温めた石を載せるんじゃなく、モグサに火を着けるのが一番効果的なんだけどね」

「ああ、燃える草でしょ? アタシの魔杖も、あれお灸ってやつなんでしょ?」

「ううん、あれは、灸頭鍼っぽかったけどモグサではなさそう」


 モグサを作るには素となるヨモギの葉が必要なのだが、この世界にはヨモギが存在していないようなのだ。


「モグサ?」

「そう、ヨモギの葉っぱを乾燥させて揉んで擂り潰して、線毛という綿毛のような部分と茎と葉を濾して分離させて作るんだよ」 


 綿毛のようなものがありそうな植物を調べてみたがシャギーリには自生してそうもないし、薬草屋で売ってはいなかった。


「でも、お兄ちゃん、おきゅう? なんて使わなくても鍼で全部、治せるんじゃないの?」

「……ケイラスに関しては俺もそう思っていたんだが、色々な人を治療していく内に鍼だけでは難しい人もチラホラいてさ、本治には至らないみたいなんだ」

「ほんち? それは円環の儀を止めることができないってこと?」

「アカネの場合は本治に至ってるみたいだけど、他の魔術使い達は鍼のみだと標治、つまり木で例えるなら枝や葉っぱを元気にすることは出来るけど、肝心な幹や根っこは治ってない状態に思えるんだ」

「……確かに、何回も来てる人もいるわね」


 一時的にケイラス病による症状は改善しているが、対症療法的な効果にしかならないのは俺の技術とケイラスへの解釈が浅いことも原因なのかもしれないが、全てを鍼のみで治療するのは無理がある。

 カヤの魔杖には灸頭鍼っぽいフォルムでお灸側でジャキの攻撃を祓うことが出来た。つまり、この世界でも鍼と灸、鍼灸が必要なのだろう。


「それで、カヤちゃんの魔杖についていたのっぽい丸石温めてるんだね!」

「……ま、まぁ、お灸の定義的には、石でもペットボトルでもドライヤーでも悪くはないんだよ」


アカネは首を傾げながら「ぺっとぼとる? どらいやー?」と不思議そうな顔をしている。

先ほどよりは少しマシになった胃を労わるようにさすってから、三里を温めていた石をどかす。

そう、悪くは無いが、これでは本治へ至ることは難しい。

この石程度のお灸では、ケイラスに干渉させられない。


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