ハネムーン?
「魔法剣士や魔剣使いはやはり五神族なのか?」
「魔法剣士はビャッコ族が中心に構成されていたわ、もともと肉体的にも優れていたし、ビャッコ族は金の魔力に長けていたからね」
金の魔力によって武器を錬成するのが得意ということか。
五行に属した種族はそれぞれの魔力に応じた能力なのかな?
アカネのゲンブ族は水で、魔法剣士のビャッコ族は金、カヤはコウリュウ族で土だが、東西南北での中央、春夏秋冬での土用にも通じ、全ての土台としての意味があるから五行全ての力が使えるという解釈だろうな。
「魔剣使いは、ビャッコ族、魔法剣士が魔術紋の代わりに作った魔剣を受け取った者達。魔術紋のように身体に刻み込むのではなく、魔剣を持つ時にだけ魔術を行使できるから、傍系だけでなく魔術紋適性が低い人間でも扱えたわ。ただ、誰でも扱い易い分、彼らは自らルールを作り、一人の魔法剣士に一人の魔剣使いの弟子、という風に、それこそ一子相伝の伝統を受け継いでいるわ」
なるほど、魔術紋の代わりの魔剣か。だから、外見上だけど人間のサラが魔刀使いにもなれたのかな。ただそうなると……
「……ということは、魔刀使いにも師匠となる魔法剣士がいるのか?」
カヤは持っていたフォークを食べ終わった皿に置くと腕を組んで背もたれに寄りかかった。
「うーん、いるはずよ」
「歯切れが悪いな」
「しょ、しょうないじゃない知らないんだから! そもそも魔法剣士や魔剣使いもフリーライトで希少なのに、魔刀使いなんて超希少をアンタが見つけちゃったんだから、本人に聞いてみたらいいじゃない!?」
「超希少って、ガチャじゃないんだから」
魔法剣士や魔剣使いは希少という事は数が少ない、それは魔法使いと一緒で東の大陸での事件のせいか。
結果的に魔法剣士への対策は功を奏したわけだ……エレメントマスターの一人勝ちという形で。
「魔刀使いの件は、今後、関わる気は無いよ。それよりフリーライト合衆国での講演だけど、一度、みんなに共有してからどうするか決めよう」
「……そうね、それでいいんじゃない」
これは乗り気じゃないな。カヤにとっては実家に帰る事にもなるだろうし、単純に遠くてメンドクサイとい感じでもありそうだ。
俺としても、サラと手紙のタイミングがあまりにも合致し過ぎている。わざわざ、藪に入る必要もないだろう。
「仮に行く事になった場合、どの道、ピリスの許可無しでは行けないだろうし、この状況下では許可も得られないように思えるな」
「……はぁ? ピリスの許可ぁ? アンタがどこかに行くのにピリスの許可がいるワケ?」
「それは、まぁ、エレメントアーミーから危険人物扱いされているし、そもそも長旅になるならエレメントコアの予備も無いといけないからね」
「……決めたわ。アタシ、フリーライトに行く。アンタと一緒に旅行に行くのにピリスの許可がいるなんて、ムカつき過ぎるし!」
「いや、旅行に行くんじゃなくて、会務だから。仕事で講演しに行くんだからな」
「……それにそういう視点で考えると……あ、あんたをアタシの両親に紹介してもいい頃かなって思ったし」
もう、主旨がめちゃくちゃになってるよ。
「ふっふふ、ピリスめ、タケミツがアタシの両親に会ったと聞いたら、どんな顔するかしら、ふっふふふ」
こりゃ、ダメだ自分の世界に入っている。
頬を染めたり、犬歯を剥き出しにしたり、闇落ちしたりと表情をくるくる変えるカヤを見て自然と笑みがこぼれた。
お腹がいっぱいになってきたが、まだ、カヤの手料理は残っている。
ありがたくいただくのが、副会長の勤めでもあるよな。
幸せを噛みしめる中、不意に、『敵になりたくはないのです』というサラのメモ書きを思い出した。




