どうしたいのか?
……ピリスが言いたいことは分かっている。
エレメントアーミーのピリスではなく(公社)ボッカイ魔法協会の仲間としてピリスはここに居てくれている。頭では分かっているつもりだが、エレメントアーミーの許可があっての俺だし、エレメントアーミーの認可があってのボッカイの街だ。
楽しそうに飲んでいる、パシー、カイル、ンドル、アカネを見る。
建前だけじゃなく、みんなが居てくれたから今日の魔法協会セミナーは成功できた。
……もし、あの日、何かが少しでも歯車が狂っていたらみんなの笑顔は見られなかった。
中庸の者としてあの時は覚醒したが、今はカヤの魔杖は何処かに行ってしまったし、俺も魔杖無しで戦っても戦力としては乏しい。
平和を維持し、組織を構築していくには……綺麗ごとだけでは済まされない。
シャギーリ魔法協会との連携もカイルがいるとはいえ、オオカワが会長に居座る限り連携するのは厳しいだろう。
そして、オオカワがまた何かを仕掛けてくる可能性も否定できない。
(公社)ボッカイ魔法協会が生き残るには後ろ盾が必要なんだ。
「シュミットくんは、どうした? 一緒じゃなかったのかな」
「ここに居ないなら、帰ったのだろう」
「……ふむ。やはり、あの娘の事か」
「知っていたのか?」
「いや、詳細は知らないし酒の席で聞きたいとは思わない。どうせ帰れば嫌が応にもシュミットくんが報告してくるだろうよ」
やれやれ、と言いながら肩をすくめる。
「確かに、不確定要素の多い話だし、何よりも(公社)には関係無い話だ」
「ほぉ、関係無いとね? タケミツが変えた魔法協会にわざわざ隣国から船旅でやってきた『女子』を関係無いと切り捨てるのかい?」
「……トゲのある言い方だな。俺達にどうしろと言うんだ?」
ピリスは頬杖をつきながら苦笑した。
「どうしろと言っているのではない、ボッカイ魔法協会はどうしたいのか? と聞いているのだよ」
「それは、カヤ次第だが。当面の目標は会員増強を図るために、広報活動やセミナーの開催、魔術紋や魔法の相談などを受け付けるつもりだ」
「では、一会員として質問する。オオカワや……ジャキ、そして、魔剣使いは放っておくと?」
ピリスの言葉に一同の会話が止まる。
ピリスめ、どこまで知っているんだよ。
「オオカワ氏に関しては、今後、カイルとも相談しながら対処する、魔法協会同士の揉め事だからな。ジャキに関しては当会が対応する問題ではないと考える。あれは、世界の脅威であり、実際にエレメントアーミーで対策協議をしているんだろ? そして、サラ……魔刀使いは当会のセミナーに聴講しに来ただけの関係だ。それ以降はエレメントアーミーで引き取る話だろう」
椅子も片付けてくれたけどね。




