魔刀使い
うぉ! ランクSか。こんな美人が最強クラスか。
この世界は容姿で強さが決まるとかじゃないよな?
それにSSSって初めて見たぞ。
真名解放って、この娘何者なんだろ……?
「……魔刀? 魔剣使いじゃなくて?」
俺の言葉にクラウスはギョッとした顔をして、腰のホルスターから素早く銀色の銃を抜き、サラに銃口を向けた。
「キサマ、噂の魔刀使いか!」
サラの纏っている空気感が一気に変わる。
ピシッとサラを中心に何かが張り巡らされたような感覚。
指先一本でも動かせば、胴体から首が切り離されてしまうような緊張感に首がヒリつく。
サラは、先ほどと何も変わらない。不思議そうな目で俺を見つめるだけで、構えるわけでも、抵抗しないわけでもない、ただ超然とそこにいる。
無音。
クラウスの唾を飲み込む音がホール全体に響いているかのように錯覚する。
クラウスとサラは駆け引きをしているのではない、初めから争いになどならない程の差が二人の間にはあった。
それを察したのか、ウダルは滝のような汗を流しながら銃を下げようとしたとき、サラは魔剣を覆っていた布を外した。
刀だ、あれはまさしく、日本刀。
ただ、鍔が無い。白い木の鞘に入った切腹などで使う短刀の長いバージョンと言えば良いのか。
彼女そのものを現すような穢れの無い白木の刀。魔刀というより魔を祓う刀。
不意に、張り詰めた空気を裂くように何かが動いた。
気が付くと、片付けていない椅子が全て宙に浮いている。
あっと叫ぶ前に椅子が見たこともない技で一斉に順序良く動き出し、片付ける場所に納まっていった。
サラを見ると何事も無かったかのように刀は布で覆われており、メモを書いてこちらに見せてきた。
『今日は本当にありがとうございました。……杉山さまが、何故、私のことを【私以上に知っているのか】は問いません。貴方のケイラスを見れば貴方が何者かは分かります。ただ、一つだけお伝えしたいのは、貴方の敵ではありません……敵になりたくないのです。ですので、せめてものお礼を込めて、椅子は片付けさせていただきました。またお会いしたいです』
読み終わるといつの間にかサラの姿は消えていた。
桜色のメモ用紙を拾う、お香のような香りがする。
ダンっとクラウスが膝を着く音。戦いは起きなかったのに憔悴し切った顔が彼我の差が見て取れるようだった。
サラ・ヴァーディ、彼女はいったい……。




