実践魔術講座
「フィナーレは魔法協会会長であるアタシが務めるわ……えー、題名だけど」
禁断の四コマ目だ。
カヤの暴走を未然に防ぐためカイルさんで終わる予定だったが、流石にみんなからの反発を食らってトリを任せることにした。
エレメントアーミーになんて弁明すれば良いのか今のうちに考えておかないと。
「……題名は……『実践魔術講座』よ」
おお、会長! やれば出来る子じゃないですか!?
カヤはアカネの魔術紋に関する基礎的な要素を加味しながら実践的な方法をレクチャーし始めた。実際に、魔法を使って五行の魔力の相関関係(相剋相生だな、これは)を示し、魔術を行使する場合の注意点や魔物と対峙するときの分析などを語る。
これでカヤは座学がダメだと言われていたのか?
一番後ろに座るカイルに目で疑問を投げかけると、両手を上に挙げて驚いた表情をしている。
「言ったでしょお兄ちゃん! カヤちゃんはケイラスに祝福されている魔法使いだって」
アカネは自分ごとのように自慢げに語った。
魔法や魔法協会の事だから熱心なのかもな、ウチの会長さまは。
「ゴブリン程度の知能だと思っていましたが――恐るべしカヤ・シドウ」
「……つまらんな」
クラウスの感嘆とは真逆にピリスは退屈そうにため息をついた。
「やっぱり、先生ぇもそう思います? ……カヤちゃんはホント、タケちゃん一途だから」
「ん? なんだ、タケミツのせいか」
ピリスがコチラをしらーっとした目で見てくる。
なんだよ、その批判するような視線は。
むしろ、感謝して欲しいくらいじゃないか、こんな大勢の前でエレメント批判なんてしたらそれこそ大問題だし、ピリスだって立場があるだろうに。
それに、ほら、受講者も今日一番の食いつきようだ。問題は無いはずだ。
あの棒娘だって……微妙な顔をしているけど、今回は栄えある第一回目の魔法協会セミナーなんだ。失敗が許されない中、これだけの受講者がいてほとんど満足げな表情をしている。
「魔術は自らの為に使うのではなく、ケイラスの調和を支えるためにも、エレ……エレガントに精進する道を選びなさい……以上!」
99名は立ち上がり拍手をもってしてカヤの講座に応える。
大成功と呼べる歴史的なセミナーになったはずだ。
カヤだって――拍手を無視するかのようにセミナー会場から出て行った。
ふぅ……今夜は飲むかぁ。




