中庸の者
「俺の力じゃない……この世界のバランスがそうさせた」
目の前に火の玉が先端についた鉄の棒が地面に突き刺さっている。
これが、みんなを守ってくれたのか。
「うう……痛たた……死ぬかと思ったわ……うっそ、アレ、アタシの杖じゃない?」
「カヤちゃん!? はぁぁ……よかったよぉ」
ああ、そういう事か。まさかなコレがここにあるなんて。
そして、それがカヤの魔杖とはな。
「バカな!! そんなバカな!!? シャギーリを滅ぼセル力だゾ。オマエ、おまえ、なんなんだ!?」
「……だから言ったじゃないか、俺がやったんじゃない。この世界が、強いていうならジャキ、ケイラスの一部であるお前自身が望んだんだよ」
俺はカヤの魔杖に近づき握った。
この世界じゃ随分、太い。三百番くらいありそうだ。
杖を地面から引き抜くと先端は鋭利に尖っている。
両手で持つと視界が変わった。
この世界の経絡、いやケイラスが見える、だが、オブザーバーで見る景色とは違う。
全てが五色の流れの中で繋がっている。
まるで油絵の世界のように美しくすべてが溶け合っている。
その中で闇に塗りつぶされている存在が見える。
「――なんナンだ、ナンなんだ、そのメは、なニヲ見てる、こちらを見るナ!」
闇から闇が放たれた。
まるで排気ガスのような闇。
「これはお灸だな」
魔杖の火の玉の方を向け、排気ガスを祓う。
「あ、アアア、ソンな……」
闇が苦しそうに蠢いている。
「え!? 何その使い方? それってそうやって使うワケ?」
「……カヤちゃん……本当にケイラスから……いただいたの?」
カヤとアカネのケイラスが今まで以上に鮮明に見える。。
うん? よく見るとカヤのお尻の巡りが悪い。
「カヤ、お前、痔だろ?」
「えうっ!? はぁ!???」
素っ頓狂な声を上げながら体の中の五色のケイラスがグルグル勢いよく巡りだしている。
「ケイラスの巡りが良くなったぞ。数日以内に治りそうだ。感謝しろよ」
「アンタぁあぁぁあ!!」
それだけ元気があればもう大丈夫だな。
「杉山さま……魔人は魔術でも魔法でもエレメントでも、傷つけることさえ困難と聞きます。しかし、今の貴方なら」
「アニキー!! やっちまってくだせぇ!!」
「アハッ、タケちゃん、フルコミットよろ♪」
三人の声援に頷きで答える。




