焦げた小さな手
「ははは、笑える。こんなモノを視覚化させておいて、個性が『普通』とはね。やはりキミは私が惚れるだけの男だよ、タケミツ」
黒鉄の鎧を着て言われたんじゃ、色気も萌えもまるで感じられないぜ。
ピリスの軽口をよそに朱雀が炎の翼をはためかせ巨大火焔竜巻をこちらに放ってきた。
「……シドウの嫉妬の炎で全て焼き付かされてしまうな。ッフ、恋とは過酷なものだ」
カイゼルの両眼が光るとジェットパックを吹かし朱雀へと赴いた。
朱雀の注意がカイゼルに向き、炎の竜巻をカイゼルが消し飛ばした。
いくらエレメント由来のアーマーみたいなのを着ているとは言え圧倒的な怪物と互角に渡り合えるなんて。
傍観者のような気持で見ていると、黄龍が叫び声をあげた。
「シドウくん!? 何をしておる! スザクと挟撃すのだ! 今が君の憎きライバルを葬り去るチャンスなのだぞ!?」
しかし、オオカワの言葉はカヤに伝わって無い。
カイゼルに向けた表情とは違い、悲しみとも怒りともとれるような顔で俺を見ている。
後ろの闇に包まれた五芒星が淀んでいる。
あの澄んだ蒼い瞳を取り戻さなければ。
早くしなければカヤは元に戻れなくなってしまう気がする。
「カヤちゃん……」
パシーの腕の中からアカネが起き上がってきた。
まだフラフラだ。
抱き留めようと手を伸ばすが、アカネは首を横に振った。
「大丈夫だよ……お兄ちゃん……今は、カヤちゃんが一番ツラいから」
黄龍の表情から悲しみが薄れ、纏っているイナズマがこちらへ放たれようとしている。
パシーがアカネの前に立ち身構える。
もはや苦笑いも浮かべず真剣な顔だ。
カヤを救う方法はあるが、先に攻撃されてしまえば全滅。
何か方法は、と考えていると水の薄い膜が張られる。
「アカネ! 無理するな」
焦げた小さな手をブルブル震わせて魔法を行使している。
「……無理するよ……ここで無理しなくちゃ……カヤちゃん救えない」
はぁはぁとか細い息遣いをしながら俺たちを守るため……いや、アカネはカヤを守るために戦っている。
その姿を見たせいか黄龍の動きが止まり苦しみの叫びのようなものを上げている。
「ぬううぅ、甘さが移りおったか忌々しい。カイルよ、出力全開にせよ。強制状態にさせる」
「……」
「カイル! さっさとせんか!」
黄龍の葛藤を制御するつもりらしいが、カイルは目を閉じ黙っている。
よっし、今なら!




