炎と瓦礫と煙
中心街へと着くと、既に大勢のゴブリン達と魔術使い達が交戦していた。
ゴブリンによって今にも止めを刺されそうな白髪の魔術使いをアカネは水の魔法で助ける。
その隙をついてか、ゴブリンがこちらにやってくるがンドルの魔術で吹き飛ばされた。
先に到着しているであろうカヤと合流して先ずは体制を考えなくちゃ。
しかし、ゴブリンの数が多すぎる。あの野営地はあくまでカモフラージュということで本隊は別な場所にいたのだろう。
既にボッカイの街は魔法使いによる自治権が認められ、エレメントアーミーの介入が見込めない。オオカワの企みだろうが、まさか、ピリスはこのことも知っていた?
……考えても仕方がない、今はオオカワの意を受けてこの状況を作りだしている奴を止めなければ。
炎と瓦礫と煙の中、カヤの姿を探すが見当たらない。
ゴブリン達の猛攻に多くの魔術使い達は押されているが、アカネの水のヴェールのお陰か致命傷に至らず済んでいる。
攻勢に出るにはカヤが必要だ。
突然、地面に大きな影が映った。
見上げるとオーガーが今にも棍棒を振り下ろそうとしている。
これは流石にマズい!
「アハ、あなたがフィックスするのは、たけちゃんじゃなくてゴブリンどもよ」
聞きなれた甘ったるい声と共に、オーガーの額に扇子がぶつかった。
鬼の形相のオーガーの顔が徐々に緩んでいき、だらしなく涎を垂らしながら俺とは逆方向にいるゴブリン達に棍棒を振り下ろした。
これがパシーの魔術。敵を操れる能力というわけか。
「大丈夫よ、たけちゃんを魔術で誘惑したりしないから。カラダで教えてあげたいし」
「……冗談には聞こえないのが怖い」
「アハ、私は恋愛のシェア歓迎よ」
場違いな明るい声。
パシーの真意が分からない。
オオカワと繋がっているのか、それとも……
「……パシーはどこまで関わっているんだ?」
惚けた顔で暴れるオーガーを背に、パシーはアハっと笑う。
「女子がみんな、たけちゃんに素直だと思わない方がいいかもね」
「それはつまり」
「今は私より、あの娘のことじゃない?」
いつもと違う真面目なトーンでパシーは半壊した民家を指した。
「カヤがあそこに!?」
「ビッグビジネスを考えるなら、先ずは近しい人からシンパシーを得ること。男子って大きな視点を持つと急に大事なモノを忘れちゃうから」
ズズーンっと地面が揺れた。
暴れまくっていたオーガーがゴブリンの群れに引き倒されていた。
「アハ……大手が弱小に倒されるのってステキね。さぁ、さっさと行きなさい」
頷く。今は、味方を疑っている状況じゃない。
ゴブリン達が気づく前に半壊した民家まで走り抜けた。
蝶番が外れかかったドアを
「カヤ! 大丈夫か!?」
蹴破った。




