大切なものは笑顔
「やめちゃえばいいよ。(公社)ボッカイ魔法協会なんて……無くしてしまえばいい」
まっすくこちらを見つめたまま、アカネはほほ笑んだ。
「ピリスちゃんに謝って、みんなでエレメントアーミーに降参すればいいんだ。そうすればみんな一緒に暮らせるよ」
「無くす? ずっと昔からあるんだろ? 伝統があって、カヤにも目的があって、パシー達も参画してくれて、アカネにとって大切な場所だろう?」
「大切なものは笑顔だよ」
「えがお?」
「カヤちゃんとお兄ちゃんの笑顔……そしてボクの笑顔がある場所。無くなったらまた作ればいい」
涙が出た。
久しぶりのマジの涙だ。
身体から力が抜けるように、そのまま床に座り込んだ。
すると、ぎゅっとアカネに抱きしめられた。
「よしよし、お兄ちゃんはがんばったね、えらい、えらい」
両親はもちろん、誰かにこんな言葉をかけてもらった事は無かった。
褒められたいからやっていたわけでは無かったが、褒められて嬉しくないわけでもない。
ただ、目の前の少年の言葉は俺の心を癒してくれるには十分だった。
「アニキ! 大変ですぜ! あ」
慌ただしい様子で、ンドルが部屋に飛び込んできた。
俺も慌てて、立ち上がる。
「ど、どうしたんだ?」
「……アニキよぉ、青春するのは良いんですが、誰でも良いってのはいかがなものです?」
「は、早とちりするな、そんなことより何があったんだ?」
「ああ、そうでした、そうでした! 大変なんすよ! ゴブリン共が街を襲ってきやがったんです」
このタイミングでゴブリン襲来、アイツの仕業か。
窓の外を見ると、ボッカイの街が赤い光に照らされていた。
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アカネに頭をナデナデされてお仕事や学校頑張っているねと言われたい方、
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