再会のピリス
シャギーリ共和国の首都イオニア。
高層ビルのような建物はシャギーリエレメントカレッジの校舎や研究施設であるそうだ。
その周りにある建物は、ボッカイより洗練され、数も段違いのレンガ造りの家々であった。エレメントマスターとそれ以外の人々との技術的な差を表すかのような街並みに改めてエレメントマスターの影響力の強さを感じる。
「相変わらず、偉そうな街並みね。物質的でホントに好きになれないわ」
カヤは馬車から降りると悪態をついた。
「好き嫌いは別として、ボッカイとはかなり違うね。どちらかと言えば、俺の世界の昔の街並みに近いかな」
「へぇ、こんな感じなんだ。じゃ、アタシはアンタの世界行きたくないから、アンタはこっちの世界にいなくちゃね」
永住決定みたいな口振りを無視して、荷物を降ろしているンドルの手伝いにまわる。
「ンドルはイオニアに来た事あるの?」
「いやぁ、初めてでさぁ。デッカイ街で驚いていやす。知り合いがいるんで、後で時間あれば顔だそうと思うんですが、良いですかい?」
「もちろん」
荷物を全て降ろすと目の前のまるで美術館のような建物を見上げる。
まるで美術館のような豪奢なホテルから、制服に身を包んだホテルマンが出てきた。
「シドウさまご一行ですね。お待ちしておりました。荷物は私どもでお運びいたします。それと、シドウさまをお待ちのオオカワさまがロビーにいらっしゃいます」
「あー……来てるんだ」
面倒くさそうなため息をつくと、
「アンタは、ちょっとその辺ブラブラしてきなさい」
「挨拶しとかなくていいの?」
「着いて早々、お小言をアンタまで聞く必要ないから」
だるっと背中で語りながらカヤはホテルへと入っていった。
「アニキ、オレもちょっと」
ンドルも手刀を切りながら足早に去っていった。
初めての街で独りか。
初めてボッカイの街に来たことを思い出すが、イオニアの雰囲気から察すると治安はボッカイより良いように思える。
随所にエレメントアーミーらしき人たちが巡回しているし、この地区の人々も裕福な感じがする。
治安が悪そうな地区に近づかないように心がけて、どんな物が売っているか散歩するのも悪くないだろう。
歩き出すと、
「そこのお兄さん、魔法協会の場所は見つかったかい?」
後ろから聞き覚えのある声をかけられた。
どんなタイミングだよ。
振り向くと、私服姿のピリスがいた。
「ほぉ、そういう顔になったんだね。さて、それじゃキミの物語を聞かせてくれるかい」




