円卓会議
砲台が破壊されたエアシップに乗ってクラウス達、エレメントアーミーは撤退していった。
その後、満身創痍ではあったが今回の顛末を話し合うために、代表者でボッカイ魔法協会会館に集まっていた。
「さて、どこから話そうか、いや、誰から話したらの方がいいか」
円卓テーブルの前で俺から話を切り出した。
「まずは状況の整理から始めるのはいかがでしょうか? シドウ会長」
「カイル、お願い」
「現在、ボッカイの街はとても危うい状況となりました。エレメントアーミーによる計画なのか、駐在武官のクラウス・シュミット独自の判断かは定かではありませんが、ボッカイ魔法協会に対し敵意を表し、カイロン商会と私の冒険者ギルドを含めて対応する結果となり、今後エレメントアーミーとの関係は急速に悪化することが予想されます」
「そうよねぇ、私も勢いでタケちゃん達のヘルプしたけどぉ、エレメントアーミー、敵にしちゃうのはやり過ぎちゃったかもぉ」
パシーはこちらに向かってテヘペロしてきた。
「それって、もしかしてエレメントアーミーがこの街に攻めて来るってことになる? まさか、戦争に?」
「正直、誰が来ようとアタシには問題無いけど、流石にガリ勉たちと真正面からバトるのは気が引けるわね」
カヤには珍しく奥歯に物が挟まったような言い方だった。
魔法使いとエレメントマスター、仮にカヤとピリスが戦うことになれば、この辺一帯に甚大な被害をもたらすだろう。
少なくとも(公社)ボッカイ魔法協会は敵対国家でも無ければ、反政府組織でもない、ただの公益社団法人だ。たとえ、軍隊に匹敵する力があろうとも、戦争を引き起こす公益組織がどこにあるだろうか。
「……すー……すー……おにいちゃん……をまもる」
こくり、こくりと、頭を揺らしながらアカネは寝言を言っている。
棚に置かれている毛布をかける。
「シドウ会長にこれ以上争う気持ちが無いようでしたら、対応策が無いわけでは無いです、が」
カイルは含むようなそぶりを見せた。
「……ゼンギョウ・オオカワ先生ね」
「ご名答、当会シャギーリ魔法協会会長のオオカワ会長からの仲介で、シャギーリ共和国政府に根回ししていただき、今回の騒動を穏便に済ませることがよろしいかと」
「あー、オオカワ先生かぁ……魔法書漬けの、あの日々が蘇ってくるわね」
「フフフ、オオカワ会長から聞いていますよ。実地においてシドウさまが過去の魔法使いの中でもズバ抜けていたが、座学の方は……」
「……か・い・る?」
カヤの睨みにカイルはワザとらしく「おっと」口を滑らしましたとの表情をした。
「魔法使いもしっかり勉強しているんだな」
「当り前じゃない! 急に手から火が出せました! なんて有り得ないわよ。ガリ勉どもみたいにエレメントカレッジがあるワケじゃないけど、魔法使いの素養ある者は幼い頃に見いだされて、師に仕えて魔法を修めるのが常識よ」
某超有名SF映画のマスターと弟子の関係みたいだな。
「徒弟制度か、一子相伝なのやっぱり?」
「一子相伝なワケないじゃん。アタシとアカネがオオカワ先生の下で修練してた時は、百人位いたかしら?」
「ひゃ、ひゃくにん?」
「ええ、でも、残ったのは数名だったわね。その中でもアカネは筆記試験では満点だったわよ、えっへん」
えっへん、って自分のことのように言われても。
そういえば、魔術使いを入会させるのも生涯研修を受けさせるべきとか言っていたから、エレメントマスターほどではないが、魔法は魔法のアカデミックな部分もあるのだな。




