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転生したら(公社)魔法協会附属鍼灸院の院長になった  作者: MC sinq-c
第一章 しがらみ編
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ビラ配り

 そこに居るのは土下座したライオン男だった。

 企画会議から五日後、この世界にも印刷技術はあるようでチラシも出来上がり、チラシを配りに街の中心に向かおうとした所、ボッカイ魔法協会会館の前に彼はいたのだ。

 ちなみにこれが『とっておきのアイデア』ではない。


「アニキ! 俺を弟分として使ってくだせい!!」 


 なるほど、ある意味で無資格魔術使い入会第一号というわけか。


「うん。弟分ではなく、ボッカイ魔法協会の会員として入会して欲しいかな」


 幸先がいいな、先ずひとり。


「いや、オレはアニキの弟分になりてぇだけで、ボッカイ魔法協会には入るつもりはねぇぜ!」 


 うわ、コイツ、めんどくせー。弟はもうすでに一人いるし。


「武光、コイツはもう処理していいわよね?」

「え、い、いや、待ってくれ、シドウさま! わ、わかりやした、は、入りますから処理しないでくださいぃぃ!」 


 泣いて謝りだした。こういう展開になると予想しないものかな。


「……まぁ、入会してくれるなら無資格では無くなるんだよな? なら会員に危害を加えちゃいけないだろ」

「その通りね……うん、思ったんだけど、やっぱり勧誘(脅迫)の方が入会するんじゃないの?」


 コイツもめんどくせぇなぁ、もう無視しよ。


「確か、ンドルさんでしたか? 入会を認める前に、あなたに大事なことを聞いておく必要があるのですが」

「ああ、また助けられたぜ、アニキ! ンドルって呼んでくだせえ、何でも答えますぜ!」


 さっきまで泣いていた顔がウソのように明るく返事をしてきた。

 この世界の人たちは切り替えが早いなぁ。


「ンドル、率直に聞くが俺に危害を加えるよう依頼した奴は誰なんだ?」 


 ンドルはうーんと頭を抱えるが、意を決したように頷く。


「本来なら、依頼人の素性は言えねぇもんなんだが、アニキのために言うよ」 

まぁ、クライアントをバラすのはどこの世界でもご法度だよな。

「エレメントアーミー所属の【EE】だ。名前は分からねぇが、若い細身の男で顔はフードで隠れて良く見えなかったが、髪は金髪だったな」 


 金髪で若い細身のEE。

 全く心当たりはないが、ピリスでないことは確定した。

 それだけでも少し安心する。


「今のを聞いて、カヤとアカネは心当たりある?」

「あるワケ無いわ、無資格で裏切り者なんて見るのも汚らわしい」

「心当たりないかも」 


 EEか、ピリスとキャンプしていた時の事を思い出すと、そんな名前を言っていた気がする。確かランクの低いエレメントギアを使うエレメントマスターの補佐をする役割とか。EEはエレメントエンジニアの略、つまり魔法工学士みたいな?

 いわゆるゲームで例えるとバッファーとかデバッファーみたいな役割かな。

 エレメントマスターの補佐か……ピリスの関係者の線が出てくるじゃないか。

 くいくいっと服を引っ張られる。


「お兄ちゃんのこと私が守るから!」


 覗き込むようにジッと見てくるアカネの頭をポンポンと叩く。


「そこ、発情しない! チラシを配りに行くんでしょ!? さっさと行くわよ」 


 カヤが手で合図をおくると、どこからともなく空飛ぶ絨毯がやってきた。

 そもそも、これは生き物なのか道具なのか、よく分らない。


「チラシを配るんだな? アニキ、オレも手伝わせてください」

「悪いけど、定員オーバーよ。貴様は走っていけ」 


 そんなぁ、と叫ぶ声がはるか下から聞こえてくる。


「会員には優しくするんじゃなかったのか?」

「甘い、甘い、これも修練の一つよ」 


 んー、入会してもすぐ辞めないといいけど。と考えている内に中心街へと着いた。

 人通りの良い場所、この十字路なら問題ないだろう。

 作成したチラシをリュックから取り出し、カヤとアカネに渡す。


「マジで配るの? ……なんか目立って恥ずかしいんだけど」

「それは魔法の絨毯で魔法使いが飛んできたからね」

「これも計画の内だよ!」 


 ちゅうちょするカヤにチラシを押し渡し、アカネは自ら取りに来た。

 ここまで来たならあとは実行あるのみ。


「こんにちはー、ボッカイ魔法協会でーっす。良ければ入会しませんか?」 


 早速、ローブを着た中年の男性にチラシを渡す。


「ひぃ! ボッカイ魔法協会……おゆるしください!」


 ピューっと一目散にローブ中年は逃げ出した。

 この反応、思ったより悪い。


「……カヤちゃんのお陰で有名だから」

「ちょっと、アカネ、嫌味を言うなんて有り得ないんですけど?」

「あり得ないのはカヤちゃんでしょ! お兄ちゃんのアイデアが台無しだよ」

「ムカっ! まだ始まったばかりじゃん!」


 往来で火花を散らす二人の魔法使い。

 これではますます往来の人々が逃げてしまう!

 うーん、何か上手く耳目を集める方法はないのか。


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