持ちつ持たれつ
「もういいわ、その辺で。それよりホラ、武光、リュックのを出しなさい」
リュックからポーションっぽい薬品の瓶八本を取り出しガラスのテーブルの上に並べる。
「そうでした、そうでした。ミソノさま、今回も大変すばらしいお仕事ぶり、脱帽です」
そう言いながらカイルは、机の中から大きな麻袋を取り出しガラステーブルに置いた。
この麻袋にあの金貨がいっぱい詰まっているとしたら、数十年は遊んで暮らせるな。
魔法使いは戦闘だけでなく錬金術もアリなのか、チートだな。
「えへへ、ポーション作りはボクも楽しいから。カイルさんは、この守護のポーションで何をするつもりなの?」
「ええ、実は最近、魔物どもの動きが活発化していることもありまして、ギルドへの依頼で街の防衛力を高めるために城壁に魔方陣を施そうと考えております」
「最近は年々、ケイラスの流れも悪くなっているしねーーエレメントによる汚染のせいね」
「エレメントって環境に悪いものなのか?」
いやいやっとカイルが慌てて否定に入る、
「シドウさま、誰が聞いているか分かりませんよ。特に我々のような立場の者がエレメントに否定的なことを言ってしまわれると、また誤解されてしまいます」
「フン、ケイラスの祝福も無い、ガリ勉どもにどう思われたって構わないわ。特に……ピリス・アイスクラーにはね!」
ガリ勉どもってエレメントマスターのことか。ピリスに対する嫌悪感というより、ライバル視は過去に何かあったのだろうか?
悪態をつくカヤを横目にカイルはため息をつく。
「しかし、シドウさまの言動もあって、結果的にエレメントアーミーもボッカイの街から撤退してしまったじゃないですか?」
「はぁ? なに被害者面してんのよ。カイルだってエレメントアーミーが居ないお陰で冒険者ギルドからの斡旋事業と自警団事業でこんなに儲けてるワケじゃない」
大きな麻袋をカヤは忌々しそうに指さす。
「はは、一本取られました。持ちつ持たれつですよね、流石、シドウさま。お陰様で冒険者ギルドは討伐依頼で溢れております」
「フン、分かればいいのよ」と腕を組んで上機嫌になる。チョロいなぁ。
なるほど、この街の冒険者ギルドは事実上、魔法協会の傘下にあるみたいだ。ただ、それはボッカイ魔法協会ではなく、全国組織のシャギーリ魔法協会だが。
それにこの街では、エレメントマスターではなく魔法使いと魔術使いで自衛をしている……そもそも、冒険者ギルドの元締めのカイルや絶対的な力を持っているカヤやアカネがいるのに、どうして魔術使いは魔法協会に入らないのだろうか?




