最悪の再会
ツンっと酒の匂いが鼻をついた。アルコール度数が高そうなのが昼間から注文されているな。
おお、想像通りのキャラクター達がいる。
戦士風な男が魔術使いと思われる女と談笑していたり、狼男と武道家風な男が小競り合いを起こそうとしていたり、ビキニアーマーな女戦士が踊っていたりと、ここは冒険者が集まる場所であることだけは確かだった。
「よう! ……見ない顔だな。よそ者、欲しい物はなんだ!? 酒か女か、それとも婆さんの猫探しか、ゴブリン共を皆殺しにするか、ここには何でもあるぜ?」
バーカウンターの奥にいるスキンヘッドの屈強そうな男が大声で話しかけてきた。
「いや、納品にきた」とバーカウンターへと近づく。
「なんだ、業者か、新顔だな」
「ああ、そうなる」
「どこから何を持ってきた」
「えーっと、アカ」
ガンと肩に衝撃と重みを感じる。あとめちゃ酒臭い。
「うぇっぷ、んだぁ、あたらしい酒かぁ」
毛むくじゃらな腕を俺の肩にかけながら酔っ払いがバーの奥の男に話かけた。
「ンドル、気が早ぇなぁ、今、新顔に何持ってきたか聞いてんだよ」
ンドル? 聞いたことが……
「あん? 酒なのか、酒じゃねぇのか、ん……てめぇ」
サッと男の腕から逃れた。
――この面、あの時、襲ってきたライオン男だ。
「今日は生憎、無一文だが、まだ何か用でもあるのか?」
少しずつ後ろに下がる。
隙を見て逃げよう。
「ッチぃ、金貨は持ってねぇのか……だが、依頼はまだ残ってんだ」
「ンドル、やるなら、外に行け」
バーの奥の男が話しかけた隙をついて、出口へと走るが、
「おっと、どこ行くんだい」
ビキニアーマー女戦士に道を塞がれた。
冒険者達がニヤニヤと笑っている。
まるでこれから起きる催しを楽しみにしているかのように酔っ払いたちが煽ってくる。
「ンドルに銀貨十枚!」
「アタシは、あの坊やカワイイから応援するわ」
「はぁ? キャシーはあんな小僧がタイプかよ……ンドル、ぶっ殺せ!」
勝手なことを言ってやがる、冒険者なんてロクでもない奴らだな。
「わりぃな、アメリア……おいおい、逃げ足だけは速ぇんだな」
ライオン男がのそりと近づいてくる。
酔っ払いたちに囲まれて逃げ場はない。
「アンタの依頼者は、俺の事を相当憎んでいるようだな……まぁ、俺もそれなりに女には手を出してきたからな」
カマをかけた。
このピンチをくぐり抜けたいがそれと同じくらい俺を狙っている奴を知りたい。
「……なんだ、んなことか。テメーは人の女に手ぇ出した口か、あの偉そうなエレメントアーミー野郎も寝取られ野郎とは笑わせるぜ」
かかったぞ、あの寝取られたエレメントアーミー野郎ということは、男だ。
ピリスじゃない!
って喜んでる場合でもないか。
「正直、エレメントマスターの犬っころな【EE】の依頼なんざ、受けたくねぇが……世の中は金次第だからな、運命をうらみな」
イーイー? と言ったか?
カヤも言っていた名称だ。エレメントマスターの手下みたいな奴なのか。
そんなことより、そろそろヤバい。
「んじゃ、テメーはここで……うぐっ、がはっ」
一か八かと考えた瞬間、いきなりライオン男が吐血して倒れた。




