副会長クエスト
ボッカイ魔法協会会館に居候して、数週間が経った。
副会長としての仕事は庭の手入れ、薪割り、アカネの発情鎮め、掃除、洗濯etcと家事全般をさせられる奴隷扱いであったが、食事だけはカヤが料理を担当してくれている。
これがまた美味いし、体力回復しちゃうから胃袋を握られてしまっていて文句も言えない毎日だ。
家での手伝いだけでなく買い物にも行かされた時はまた襲われないかと内心ビクビクしていたが、そもそもボッカイの街は賑わっているけど治安が悪いわけではない事に気がついた。
自警団のような組織もあり、この街に住む多くの人々が魔術使いでもあった。
なぜ、こんなに魔術使いが多いのか食事の時に二人に聞いてみたが……犬歯剝き出しドラゴンと俺に触れるとはぁはぁしちゃう男の娘に話しかけるのは無謀であった。
やれやれ、彼女たちとの距離感を掴むにはまだまだ時間がかかりそうだ。
と思っていたところ、ようやく奴隷仕事でない副会長クエスト(カヤの命名)を与えられたのだが……。
「はぁ、重たい……」
ボッカイ魔法協会館から街の中心まで三十分は歩いたかもしれない。
背中に担いだリュックの重量でストラップが肩にくいこむ。
「十リットルは超えているよな。最初は良かったが距離と共にしんどくなるよな液体系の荷物って」
与えられた副会長クエストはアカネが作ったポーションっぽい薬品八本を冒険者ギルドへ搬入してこいとの事だ。
お使いクエストかよ、と嘆かないのはあまりにも生活じみた仕事ばかりで、異世界冒険感をようやく味わえるのが嬉しかったからだ。
「冒険者ギルドと聞いて、ウキウキしない男はいないだろう」
そう考えればリュックの重みも薬品一本分くらいは軽く感じるかもしれない。
人通りも増えてきたので中心街までは来たかなと、地図を広げてみる。
「目印となる巨木は……あれか」
北西の方に屋根を越える高さの木が一本見えた。
そのままそちらの方へと歩いていく。
「こりゃ大きい、樹齢何百年ものだろうな」
イチョウのような黄色い形の葉っぱをつけた巨木、その向かいにあるのが、
「ここか、冒険者ギルドは」
見たこともない文字だが、不思議と読めるのはオブザーバーのお陰だろうな。
しかし、冒険者ギルドと書いてあるが中から歌声やら罵倒やらが聞こえてくる。
ドラファンに出てくる、ムイーダの酒場的な要素もあるのか。
正直、気は進まないが副会長クエストをこなさない限り、奴隷からクラスチェンジできそうもないのでウエスタンなドアを押し開けた。




