第四話 赤城山
第四話 赤城山
と、いうことで…
やってまいりました。
赤城山!!
空気が綺麗。
私が元々住んでいたのは、「菅谷玲」と同じ埼玉県。
やっぱり空気が全然違う。
透き通った空気に気持ちが晴れやかになった。
目の前の山を見ていると、明日からの試験なんて忘れてしまいそうだ。
家から山までの道のりに、かなりスムーズだった。
というか、スムーズすぎるほどだった。
あの家に飾られてる表彰状…。
まんざら嘘でもないようで、現実世界、いや前世というべきか。
あの時代より遥かにロードの乗り心地がよく、びっくりしてしまった。
さらに加速だ、自分は山を登るのが得意だった。
平坦もかなり早い速度が出ていて驚いていた。
表彰状で、ララは平坦を得意としていたが山でも実力を出していた。
私はというと山がこちらの世界でも得意だったようで山で
表彰されているものが多かったのだ。
だから思わず主将さんに強気な態度をとってしまった。
横目でララを見ると、また目に炎を燃やしガッツポーズして気合を入れていた。
私も負けてられない。手に力が入る。
箱推しには、とりあえず正明館学園チーム会えてたが、
やはり「嗣永玲」がいる松伏高校チームに会わなければ転生された意味がない。
そうだ。今の私達は走るしかないのだ。
ララがロード声をかけてきた。
「しかし私達ジャージも着こなせる最強ヒロインね。」
えっそこかい!
と、つっこもうとしたけど
自分で言うのもなんだがロードバイクの体にぴったりジャージを着て
つくづく自分でも絶賛したくなるほどのスタイルだ。
神様は偉大だ。
「ヒロインか…。まずはマネージャーにならない事には
ヒロインもヒロインでなくなわね。」
「キキよく言ったわ!さぁ、とりあえず力試しよ。上りましょう!赤城山!
それに、ここは神様がくれた、自然との対話がしやすい場所だと思うのよ。
いっちょ、やってみましょう!
という声でロードバイクに乗り赤城山の登りをスタートした。
懐かしい感じがする。
毎日通っていた池袋までの山道は、ここまで坂は厳しくなかった。
でも、やはり坂は楽しい。
そんな時、先行していたララに話かけられる。
「キキ、私あんまり坂好きじゃないかも。上れるけど平坦の方が好きっぽい」
たしかに、さっきまで山を登る前までのキキは先行を取り
ものすごい加速で山の麓まで連れてきてくれた。
表彰状みたところ、オールラウンダーって、二人ともカテゴリーに
入ってたけど、やっぱりそれにも得意不得意があるようだ。
「ララ変わって!私が先行する!」
そういって私は前に出た。
脚が軽い。何も漕いでいないようだった。
宙に浮いてる感じ。
なんだろう。表現すると、羽が生えたような感覚だった。
そんな時、ララがビックリしたような声で話かけてきた。
「キキ!たぶん使えてる!神様が与えてくれた、自然との対話!」
自分の足元を見てみると台地が七色に光っていた。
そして自分の周りを七色の風と光が包んでくれているようだった。
気が付くと風の音もまるで音楽のように聞こえてくる。
「キキ!それ、どうやるの!?教えなさい!」
と後ろでララが言う。
「分からないけど、すごく楽しんでる!登りが楽しいの!」
私は、気が付くと今までかつてないほどロードバイクで上る山を楽しんでいた。
ララが困った様子で楽しむ方法を探している様子だった。
私はララの後ろに回り背中を押した。
「ララ、ほら山の匂い、風の音、台地の滑り心地。全部を楽しんでみて!」
そうするとララは目をつぶし加速していく
ララのロードの下にも見えた。七色の光が…!
そして、ララの周りも七色の光でつつまれていった。
「キキ!これすごいわ!ロードに乗ってるのがウソみたいに、足が軽い!」
「本当ね!!」
と、二人で山を駆け上がっていると
後ろからすごいスピードで山を上がってくるのが分かる。
音で分かった。車じゃない。
ロードバイクだ!
後ろを確認すると、夏焼輝がすごいスピードで坂を登ってきていた。
彼も私達に気が付いたようで
足を止めてくれた。
「あ、君たちは同じクラスの!ん~。誰と誰だっけ?」
「上国料キキとララです…」と私は、返事をした。
「さっきは、まだ髪の毛で、違う人に見えたけど、
ロードに乗ると全然見分けつかないね!」
と、夏焼輝が答えた。
って、名前すら覚えてないのに、軽く話しかけてきちゃうんかい。
と、何を言うかと夏焼輝に私は心の中で突っ込んでいた。
だがしかし、漫画でもふわゆるキャラな彼だったので驚きはしない。
ララがそこへ入ってきて
「輝君は自転車入部しないの?」
「もう入部届け出してきたよ~!今も練習中。あとから先輩達も来ると思うよ」
思わずびっくりした。すでに先行してきたんかいっ。
「え、じゃぁ、3年の先輩達も走ってるってこと?」
「僕坂好きだから、先輩達についてこいって言われたのに思わず抜かしちゃったんだ。
へっへ~。あとで怒られちゃうかもな~。やだな~。」
全然嫌そうに思えない口調と笑顔で夏焼輝は言った。
隠れて練習しようとしたのに、意味がない。
これは3年が来る前に山を登って帰宅したほうが良さそうだ。
「輝君、情報ありがとう!私達明日から自転車部のお試しマネージャーになるの。
3年の先輩に今練習してるとこ見られるとマズイのよね。悪いけど先にいくね」
とララがロードにまたがり
さっそくスタートしてた。もちろん私も慌てて追いかける。
「輝君、と、いうことなの!また明日ね!」
先に走るララを追いかけ加速した。
そのあとに夏焼がついてきた。
「君たち早いね。驚いちゃった。そのサイクリング僕も参加していいかな。
みんなで走った方が楽しいよ!」
と、眩しい笑顔を向けられた。
乙女ゲーが出ていたら第一イベント間違いない。
「申し訳ないけど、サイクリングって速さじゃないけど、それで良かったら。
お好きにどうぞ。でも、君が言う通り私達は早いわよ」
ララは、さっきまで、たいしたロードの乗り方もしていなかったのに
口だけはいっぱしの事をいう。
「いいよ。そいうのワクワクするね。こんなおしゃべりしてたら、先輩達追いついちゃうよ。
ほぉら急ごうよ!」
ものすごい加速で夏焼輝は坂を登っていく。
あまりに無駄のないペダリングと、その綺麗な後ろ姿にに目を奪われる。
って奪わてる場合じゃない。
「ララ、まず夏焼輝を越さないと3年の先輩達に見つかるわ。早いとこ登りましょ!」
「そのようね。登りはあんまりだけど、
さっきの自然との対話でなんとか乗り切りましょうか…」
私達は夏焼を追いかけた。
漫画では、凄腕のクライマーだ。
とてもじゃないけど、追いつけない自信があったのだけれど
二人であっさり追いついてしまったのだ。
「君たち、男子自転車競技部レベルじゃないの?驚いた。僕についてこれるんだ~。先輩達も抜かしてきた僕に。」
夏焼が、少し目つきが変わる。
ララと二人で目が合う。
「こんなはずじゃなかったんだけど、ついてこれちゃったのよ…」
と、ララが言う。
「でも、先輩達には合いたくないわね。サイクリングだったわね。今日は出来ないわ。急いで麓まで下りるね。じゃぁ!」
と、ララが夏焼に伝える。
彼は不満そうな顔になったが、いつもの笑顔に戻り、
「それは残念だな。今日はっていうところにしておこうよ。
今日のところはね。いつか機会があったら全力のサイクリングをしようよ。
楽しみにしているよ」
いまいち、夏焼輝はつかめない。ただ、その笑顔は女子の黄色い声が飛び交うのが分かる笑顔なのは間違いなかった。
と、思わず夏焼輝の笑顔に見惚れていたらララに突っ込まれた。
「キキいい加減に、この世界の顔面偏差値に慣れなさい!
さて、麓までラストスパートかけて自宅まで急いで帰るわよ!
マネージャーなりたくて練習してます。なんてかっこ悪いじゃない」
と、キキ先行で急いで麓まで下り、自宅へ帰ることにした。
キキッー。
ロードを自宅前に止める。
「キキお疲れ。」
「ララもお疲れ」
でも、思った以上に疲れてはなく充実感と達成感だけが残っていた。
ララが含み笑いをしながら
「あの夏焼輝についていき、尚且つ先輩達に見つからずに帰ってこれたわ。これは、キキ!チャンス到来の予感よ」
「チャンス到来…。本当に思った以上に私達の未来は明るいかもしれないね!」
「キキ何いってるのよ。明るくするのエンジョイするのよ!さっ家から良い匂いがしてくるわ!腹ごしらえして明日に備えましょ!」
ララはいつもポジティブだ。本当に憧れる。
そうだ。今日の夏焼とのサイクリングは自分たちの腕試しになった。
これは暗くない話になってきた。
もしかしてのもしかしてがあるかもしれない。
ララの言う通り腹ごしらえ!さぁ食べて力をつけて明日からの自転車競技部初の女マネージャーという試験をかけて…
がんばりましょ!
玄関でララが呼ぶ。
「キキ~!何してるの~!早く早く!ママが今日はハンバーグだっていって用意してくれるよ~!」
「はーい!今いく!」
ララ同様に、家路に急いだ。
とにかく、明日からの試験楽しもう!
第四話 赤城山 完




