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縁切大明神  作者: 麿猫
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五、鶴 回想 数日前

五、鶴 回想 数日前


兎が入ってくる。


兎 おお、鶴。鶴! こんな所にいたのか。

鶴 (振り返って兎を見つめて) ああ、恩師殿。

兎 どうした、珍しいではないか。ぼんやりなどして? さては、おぬし緊張しておるな。

鶴 ええ…柄にも無く。

兎 そうであろうな。見ればわかる。いやはや、出雲におぬしが来たときは驚いたものだが、よくもまぁ見習いから立派になったものだ。指導した身分としても鼻が高いぞ。おぬしの、誰かを助けたいという気持ちの大きさには、驚かされてばかりだったぞ。

鶴 恩師殿のお陰というもの…それに私なんてまだまだです

兎 おぬしの旅立ちの前の日ぐらい、謙遜するのは止すのだ、鶴よ。おぬしは、もう立派な、そう、鶴だぞ!

鶴 …はい。

兎 おぬし、どこに行くか決めたのか?

鶴 私は……江戸へ行こうと思います。

兎 そうか…つらい旅になるだろうが、我々はな、神使として神として、一つの神社へ未来永劫尽くす前に、一度だけ過去に戻ることが出来るのだ。その一回を大事になさい。神使として、神に一生を仕えるその前に、自分の生きた証をしっかり見つめて、乗り越えて来るのだぞ。自分の運命というものを、だ。それが出来なければ、我々は、我々として生き続けることなど出来はしないのだ。

鶴 はい。

兎 私など、ちょいと出来心で悪さをしてなぁ…皮を剥がれた上に、騙されて…自分で塩を体に塗りたくってしまってな…いやあ恥ずかしい過去と向き合う形になってしもうたわ。しかもそれは、物語として後世に語り継がれて星の数程も読まれてしまってなぁ。いやぁ…その恥ずかしさを受け入れるのは、並大抵のものではなかった。それでも、過去と向き合ったことで、あの時の経験を私は忘れずに活かしていこうと思えるようになったのだ。鶴。私とお前、立場も背負う事柄の重さも違えど、心ひとつでなんとでも出来るのだ。だから、私にはこう言うことしか出来ないのだが……頑張ってくるのだぞ。

鶴 …はい。


兎、満足そうに頷いて去る。


鶴 自分のことなど、どうとでもよいのです。私は……



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