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37.戦闘開始

 

 大型の鹿の魔物レインディア。

 魔物の中でも上位に位置付けられる危険性がある魔物。それでも目の前にいるレインディアは小型に分類され、言わば子供に値する大きさ。それでも角まで測ると家と同じ高さがある。


 対するはイアン率いる戦闘経験は小型の魔物くらいのポチ達。戦闘能力の差は歴然だ。


 倒す事はイアン達には無理だ。だから上手いこと攻撃を往なし、ここから追い出す事にする為にイアンは指示をする。


「ポチ、常に支援スキルを頼む!」

「ワン!"ウォーン"!」


 ポチのスキル"遠吠え(とおぼえ)"。

 音の高さによって味方の防御力、攻撃力を上げたり、逆に敵の能力を下げたりする事が出来るスキルだ。


 但し、間違った高さで発動してしまう場合があるので、高レベルの聖獣や魔物が使うのは上位互換の"攻撃の遠吠え"や"防御の遠吠え"を特定の能力を上げたり下げたり出来るスキルを使用している。


「タナカさん(夫婦)は"変換"して防御しつつ挑発してくれ!」


 タナカさん(夫婦)は家の側に立て掛けてあった木の板にスキル"変換:盾"とスキル"変換:矛"を使った。


 スキル"変換(へんかん)"は本来の用途とは違う物を武器や防具にする事が出来るスキル。

 これによりただの木の板が木製の盾、木製の片手剣になった。

 素材によって石製や鉄製だったりとなるが、変換前の状態には戻らないので使用する際には注意が必要だ。


 盾と剣を装備し、家から注意を逸らす為にレインディアの背後に回り、邪魔するように攻撃をして注意をタナカさん(夫婦)に向ける。


「タマは外に追い出すように攻撃しろ!」

「はいにゃ!」


 タナカさん(夫婦)が引きつけている隙にタマはレインディアの横に移動する。


「必殺、"猫パンチ"にゃ!」


 スキル"猫パンチ"。よく動物の猫がやるパンチの強力バージョン。猫型の聖獣や魔物が使う攻撃スキルである。


 "猫パンチ"でタマはレインディアの横っ腹をジャンプして殴りつけた。

 一瞬よろけたが、直ぐ立て直し、頭を振りかぶって着地前のタマに角で攻撃を仕掛ける。


 それを見たタナカさん(夫)が間に割り込み、盾で往なす。しかし、木製の盾ではレインディアの攻撃には相性はよくなかった。たった一撃で盾が壊れてしまったのだ。


 レインディアは二度目の攻撃を加えるが、タナカさん(夫)は咄嗟に剣で防ぐ。

 しかし、盾と同じ物を武器として"変換"しているので剣も一撃で壊れてしまい、そのままの勢いで吹っ飛ばされた。


「嘘だろ⁉︎」


 レインディアがタナカさん(妻)達に気が向いている間にイアンはタナカさん(夫)の元へ駆け寄る。


「タナカさん(夫)!大丈夫か」

「カ…タ」


 見るとタナカさん(夫)の身体は剣をワンクッションとして入れても所々ひびが入っており、レインディアの攻撃威力を物語っていた。


「くそっ、こんなのどうしろってんだよ!"ヒール"」


 対峙する敵の強力さに悪態を吐きつつ、イアンはタナカさん(夫)に"ヒール"をかける。

 テイマーの使う"ヒール"は自身や他人への回復は行えず、使役している動物や聖獣の治療にしか効果が発揮しない。

 だから、イアンも例に漏れずテイムしている魔物にしか使えない。


「にゃー!」

「タマ⁉︎」


 タマの叫びで振り向くとタマの足元が泥になってタマを飲み込もうとしていた。レインディアのスキル"沈む泥(ゼィンクンマッド)"だった。


「助けて下さいにゃぁ!」

「タナカさん(夫婦)、ポチ、援護してくれ!」


 レインディアをタマの側から離れさせるよう指示してイアンは長めの木の棒を掴み、タマの元へ走る。


「タマ!」

「うにゃぁ、ご主人ヘルプですにゃ」

「この棒に捕まれ」


 棒を掴んだタマを引っ張り上げようとするがピクリとも動かない。

 それもその筈、レインディアのスキルは倒さなければ解除されない。もう一つ解除される方法としてはレインディアがタマに興味を無くし、この場からいなくなる事だ。


 しかし、既にレインディアはイアン達を自分を閉じ込めた敵と認識して既に戦闘態勢。しかも空間という限られた中で開いている所から追い出すのは容易い事ではない。


「だからって倒すことなんて、俺らに出来るかっ!」

「キャン!」


 悲鳴を上げるポチにイアンはバッと顔を向ける。ポチは攻撃の余波でイアンの近くまで飛ばされたらしい。

 よく見るとタナカさん(夫婦)もボロボロになって動くのもやっとだ。


「無理、だ…」


 こんな一瞬の間に全員が戦闘不能にされた事にイアンの顔は青褪める。

 レベルの差があり過ぎた。


 絶望が過る中、唯一この状況を変えられる希望がある事にイアンは気付く。

 一番使いたく無い手だが、もう選んでいられなかった。


「みー君‼︎」


 イアンは地面に向かって叫ぶ。

 すると地面がガタガタ揺れだし、衝撃と共にレインディアよりも大きい巨大なミミズが飛び出して来た。


「にゃんですにゃ⁉︎」


 タマとタナカさん(夫婦)は新手かと警戒するが巨大なミミズはレインディアから守るように立ち塞がるその姿を見てポチはホッと安心したように息を吐く。


 これがこの状況を変える希望、イアンが三番目にテイムした魔物ワースワーム、名をみー君だ。


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