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36.魔物レインディア

 

 固有スキル『不可侵の領域』。

 少しズレた次元に空間を作り、『絶対斬撃』のような特殊スキルを持つ者以外入り口を閉じてしまえば何者にも干渉されない空間スキルだ。


 このスキルは一箇所でしか発動できない為、一度作った空間を壊さなければ再びスキルを発動する事は出来ない。

 しかも解除すると空間内にあったもの全て消えてしまう。それが人であっても。

 だから、解除する時は何も無い状態にしなければならない。


 だが、解除は発動者以外にも可能である。

『不可侵の領域』を構成する核が空間内に存在する。それを壊されてしまうと空間が維持できずに解除されてしまうのだ。


 ◇◇◇


 イアン達は複数の小さな鉢に実家から盗って来た赤く丸い種を植えていた。

 マンドレイクという幻覚作用のある植物の為、医薬としてでは無く対魔物用の薬の材料として使われる。


 育成の条件が良ければ他の植物を押し除けて、もの凄い勢いで育ってしまう厄介な植物である。

 その万が一があってはいけない為、地植えはしないで鉢植えにしているのだ。


「これって何日で芽が出るんですかにゃ?」

「んー…一緒に持って来た育て方を見ると早くて二十日みたいだな」

「長いですにゃ」


 タマが軽く覆土をしていく側ら、イアンはタナカさん(夫)が持ってきてくれた水の入ったバケツから鉢に水やりをしていく。


 イアンが何故幻覚作用のあるマンドレイクを育てようとしたのかと言うと、どうやらマンドレイクの赤い実の皮だけが医薬として使えるのではないのかと実家の研究ノートに書かれていたのだ。

 それに興味を持ったイアンが実験してみようと丁度ノートの側にあった種を持って来て育てる事にしたのだ。


「よし、終了!」

「にゃ」


 鉢を家の日当たりの良いところに置くと作業は終了。

 侵入していた鳥を追い払っていたポチと合流し、畑で作業していたタナカさん(夫婦)の元に行く。そろそろ休憩しようと声をかけにいくのだ。


「タナカさん(夫婦)、どこまで終わった?」

「カタカタ」

「カタカタ」


 指を差しながらイアンに作業が終わった場所を伝える。タナカさん(夫婦)にはこれから暑くなるので、日差しの強すぎる場所に日除けを付ける為に土台を組んでもらっていた。

 終わった場所を聞いて休憩後の作業をどうしようか考えようとイアンは思っていた。


「ご主人ー、早く休憩しましょうにゃ」

「ワンワン」

「はいはい…タナカさん(夫婦)も行こう」


 だが、疲れたタマとポチに急かさる。イアンも疲れていたので後で作業予定を立てようとタナカさん(夫婦)を呼んで家の中に戻ろうとした。


「…なんだ?」


 急にバサバサと鳥が家の上空を忙しなく飛び去った。

 いつも穏やかな鳥が何かから逃げるように飛び去る姿に眉間に皺を寄せ、何か感じるかとポチに聞こうと見る。


「ヴゥゥ」


 ポチは何かを感じ取ったのか、開いた空間から鳥が来た方向を警戒する。

 タマもそわそわと尻尾を動かし、タナカさん(夫婦)も二匹の反応に警戒していた。


「一体な、」

「ぶぉぉおお‼︎」


 イアンが聞こうとした瞬間、大きな鳴き声と共に空間の開いたところから魔物が侵入して来てしまったのだ。


「なにっ⁉︎」

「にゃ⁉︎レインディアにゃ!」


 魔物レインディア。タマが何時ぞやアイゼとサントに語っていた時に登場した大型の鹿の魔物だ。


 レインディアはそのまま直進して畑を踏み潰して走るが、空間の突き当たりに打つかってしまう。


「あぁ!あそこ収穫もうすぐだったのに!」

「そんな事言ってる場合ですかにゃ⁉︎」


 その間、レインディアは何度も何度も壁に向かって打つかるが壊す事が出来ない。だんだん気が荒ぶって来たレインディアはイアン達の方向を向いた。


 ここから抜け出せないのは目の前の奴らのせいだ。

 そう思ったのかイアン達に狙いを定めた。


「ワン!」

「やばい!避けろ!」


 突進して来るレインディアにイアンは避ける指示をする。レインディアはイアン達が避けた先の家に打つかる。

 しかし、家は守られるように薄い壁を展開していた。


 本来一時的にしか使わないスキル『不可侵の領域』をイアンは長期間使うにあたり、もしも何かあって壊されてはいけないと核を屋根裏に隠し、守る為に家に力を込めたのだ。

 長いこと力を込めた事が影響したのか、家と核が一体化してしまい、この家は言わば核を守る砦であり、核そのものになってしまった。


 家が壊されればこの空間が消えてしまう。だが、長期間力を込めた砦の家の守りが壊される事が無いと思ってイアンは自分達を守る為に避けろと言った。

 しかし、レインディアの一撃は想像以上に強力で薄い壁にひびが入った。


「はぁ⁉︎嘘だろ⁉︎」


 ひびに気付いたのか角で何度も突く。パラパラ少しずつ壊されていく壁にイアンは焦る。

 このまま壁を壊され、家まで壊された瞬間この空間が消えてしまう。そうなると家の物も畑もさっき植えたばかりのマンドレイクも今までの全てが消えてしまう。


「そんな事させるか!ポチ、タマ、タナカさん(夫婦)!こいつを空間から逃すぞ!」


 イアン達はレインディアとの戦闘を開始したのだった。


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