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プロローグ
悪いのは猫だけです。残酷なのも猫だけです。
鼠を責めないであげてね。笑
◆◆Another world◆◆
カチン。
金色の懐中時計の上蓋を、少年が閉じた。
「そろそろか…」
一人呟き、紅茶を一口
口に含んだ。
何気なく外を眺めていたら、
窓の外に、何かが落ちてきたのが見えた。
白い、卵のようなものだった。
少年がそれが何なのか
判断するには、少し遅く、
地面に落ちた瞬間、それは激しい音と共に、
爆発した。
物凄い爆風で、家ごと少年は吹き飛んだ。
「ああ、また僕が勝ってしまったね、鼠クン。」
倒れている少年を「鼠」と呼ぶ、
悲しそうな顔を浮かべる、もう一人の少年がいた。
「…まだ、負けてない…この、糞猫がっ…」
息も絶え絶えに、少年は言った。
静かな罵声を浴びせられた「猫」と呼ばれた少年は、
持っていた短刀で、
倒れている少年の胸を、
深く深く 突き刺した。
「もう、口が悪いってば…。」
誰も息をする者がいないのに、
少年は呟いていた。
その数日後。
「鼠」の少年は、
傷一つない姿で、
一度死んだはずの場所で、
《再生》した。