律儀な幼馴染 4
キリが~!以下略。
「アンが言ってたんだけど」
アンが!?
「ヨシュアは自分から告白した事ないって」
「したことはあるよ!」
そこは否定する。振られたんだけどな!約束した人がいるからって。
「来る者拒まずだって」
いや、拒むよ好みじゃなければ、皆それなりに可愛かったんだよ!
「デートの選び方が毎回同じとかも言ってた・・・かな?」
否定出来ない。
「面倒なんだよ」
「ひどいね」
リサの口調が咎める風でないのが余計にズキリと胸に響いた。
「リサは嫌がらなかった。・・だろ?」
「え?その頃から変わらないの?」
びっくりされて俺もびっくりだ。駄目だったのか。
「・・・と、友達付き合いも大事だろ?」
「うん。デートに一緒に連れて行ったんだね」
「旨くて珍しい魚は釣ったら・・・食べさせてやりたいだろ?」
「うん。それプレゼントにしたんだ」
「将来?・・か、・・家族になるなら、無理しても続かない。よな?」
「うん。思いやりは大事だけどね」
リサは肯定も否定もしない口調なのに、ちょっと心に刺さるのは何故だろう。
「・・・何言いたいのか、全然解んないんだよなぁ~」
幼馴染だからか、弱音が出た。ぼろぼろ出た。
なんで、アンみたいに言いたい事ハッキリ言わないのか。リサみたいに俺の譲れない所を察してくれないのか。リサと違って文句ばっか言うし、要求ばっかり増えて俺の都合は無視する。
とりあえず。作ってくれる飯が家と違ってマズ・・・口に合わない。
「ハッキリ言ってくれたら俺も解るし」
「うん」
「アンなんか、ビシバシ言うだろ?・・・あいつは可愛がった事も忘れて言いたい放題だけどさ」
「兄妹だから・・」
「だったらリサは他人、っ悪い、家族だ!とにかく。リサは俺が言いたくない時は、しつこく聞いてこない。よな?」
喧嘩だってお互い幼かった時だけしかしなかった。仲も悪く無い。幼馴染、友人として良好だった。
徐々に下がった視線を上げ、リサを見たら俺の愚痴に嫌な顔もせず真面目に聞いている。
「・・・ずっと一緒にいたからね」
そうなんだよな。それが今は違う。不思議な感じだ。平気と言えば平気。だが少し落ち着かない。始めは横を見て、ああ、リサ居ないよなって思った。
「アンとは良くしたけど、リサとは喧嘩も殆どしなかったよな」
リサの視線が部屋の出口の廊下へ繋がる方を向いた。
「ヨシュアと何かあっても、クリスがいつも聞いてくれたから」
リサの横顔が大人びて見えた。彼女と同じ方向を見る。
母の手作りの暖簾がひらひらしてるだけ。
「だから、ヨシュアとぶつかる必要もなかったのかな」
呟かれた言葉は応えを待っている訳ではなさそうだった。
「・・・そっか」
呟きにしか聞こえない声が出た。
何も変わっていないようで、そうでもない時間が過ぎていた。