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婚約者の言う事には  作者: 北見深
各々の回想
28/29

律儀な幼馴染 4

キリが~!以下略。

「アンが言ってたんだけど」


アンが!?


「ヨシュアは自分から告白した事ないって」

「したことはあるよ!」


そこは否定する。振られたんだけどな!約束した人がいるからって。


「来る者拒まずだって」


いや、拒むよ好みじゃなければ、皆それなりに可愛かったんだよ!


「デートの選び方が毎回同じとかも言ってた・・・かな?」

否定出来ない。


「面倒なんだよ」

「ひどいね」


リサの口調が咎める風でないのが余計にズキリと胸に響いた。


「リサは嫌がらなかった。・・だろ?」

「え?その頃から変わらないの?」

びっくりされて俺もびっくりだ。駄目だったのか。

「・・・と、友達付き合いも大事だろ?」

「うん。デートに一緒に連れて行ったんだね」

「旨くて珍しい魚は釣ったら・・・食べさせてやりたいだろ?」

「うん。それプレゼントにしたんだ」

「将来?・・か、・・家族になるなら、無理しても続かない。よな?」

「うん。思いやりは大事だけどね」

リサは肯定も否定もしない口調なのに、ちょっと心に刺さるのは何故だろう。


「・・・何言いたいのか、全然解んないんだよなぁ~」

幼馴染だからか、弱音が出た。ぼろぼろ出た。


 なんで、アンみたいに言いたい事ハッキリ言わないのか。リサみたいに俺の譲れない所を察してくれないのか。リサと違って文句ばっか言うし、要求ばっかり増えて俺の都合は無視する。

とりあえず。作ってくれる飯が家と違ってマズ・・・口に合わない。

「ハッキリ言ってくれたら俺も解るし」

「うん」

「アンなんか、ビシバシ言うだろ?・・・あいつは可愛がった事も忘れて言いたい放題だけどさ」

「兄妹だから・・」

「だったらリサは他人、っ悪い、家族だ!とにかく。リサは俺が言いたくない時は、しつこく聞いてこない。よな?」

喧嘩だってお互い幼かった時だけしかしなかった。仲も悪く無い。幼馴染、友人として良好だった。

 徐々に下がった視線を上げ、リサを見たら俺の愚痴に嫌な顔もせず真面目に聞いている。

「・・・ずっと一緒にいたからね」

 そうなんだよな。それが今は違う。不思議な感じだ。平気と言えば平気。だが少し落ち着かない。始めは横を見て、ああ、リサ居ないよなって思った。

「アンとは良くしたけど、リサとは喧嘩も殆どしなかったよな」

リサの視線が部屋の出口の廊下へ繋がる方を向いた。


「ヨシュアと何かあっても、クリスがいつも聞いてくれたから」


リサの横顔が大人びて見えた。彼女と同じ方向を見る。

母の手作りの暖簾がひらひらしてるだけ。


「だから、ヨシュアとぶつかる必要もなかったのかな」

呟かれた言葉は応えを待っている訳ではなさそうだった。


「・・・そっか」


呟きにしか聞こえない声が出た。

何も変わっていないようで、そうでもない時間が過ぎていた。

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