かわらない? 2
キリが良い所で・・以下略。
深く考えるのを止めたヨシュアは踵を返して家に歩き出した。
家の前まで来たら、夕食の良い匂いがする。
良い匂いに気を良くして、ヨシュアはすっかり機嫌を直した。
いつも通り、当たり前に台所へと続く玄関扉を開けたら、そこには良く知っている人の料理する後姿。
夕食の鍋の火加減を見ているから手が離せないらしく、真剣な横顔だけが解る。久しぶりの帰省といった雰囲気が皆無だ。
背を向けたままのリサは前と同じに見えた。
「お帰り」
かけられた声に、どっちがだよって思ったそのままを口にする。リサは一瞬手を止めて顔だけ振り向いて笑った。
「じゃあ。ただいま?」
「おう。腹減った」
リサは完全にこっちを向いて軽く首を傾げる。
「お帰り、は?」
「もういいじゃん・・・・お帰り」
改めてこっちを向いて、返事をじっと待ってるリサに負けた。席に着いて、そういえばアンが手伝わない男は最低だとか言ってたな、と思い出す。
腰を浮かして「何かする事あるか?」って聞く
「まだいいよ。先に食べるなら自分のお皿は出してね」
また、支度に取りかかったリサに分かった。と答え食器棚から皿を出す。で、リサの横に立った。
「腹減ったんだけど」
話しかけるがリサは鍋から目を離さない。リサはお椀に少し取り分け味見する。満足したのか火を消し、やっとヨシュアを振り返った。
「子供じゃないんだから」
呆れを含んだ声。
「だって、リサの飯久しぶり」
「そうだね」
だから何だと言う目だ。だけどリサは持ってきた皿に出来立てのシチューをよそう。
「はい」
早く取れと押し付ける。
目で中身を確認すれば、肉肉言う俺の為に大き目の肉が浮かんでいる。ついでに野菜も細かいのがたっぶり入っているが文句は言わない。
昔のままだ。
変わらない・・・・ん?どっか違う?
「髪伸びた?」
リサは瞬きしてふっと笑う。
「びっくり。ヨシュアが髪型に気付くとは思わなかった」
失礼な奴だ。俺もそういう機微?は解るんだからな。
「そのぐらい解る」
自信満々で言いつつも、前はもっと短くて肩位まで・・いや、アゴの辺りまで?逆に長かったっけ?あれ?
などと悩んでいるとリサが笑った。