ラルフ 長兄の癒し
なんやかやでリサはクリスの嫁になった。
★★★
俺は純粋に可愛い花嫁を褒めた。頭を撫でたら嬉しそうに笑う。うん。リサはそう言う所が可愛いんだな。
寄越されたクリスの視線が痛い。流れ弾に当たった気分だ。
「クリス・・。」
ちょっと呆れた視線をやれば自分でも気付いたのかクリスがバツの悪そうな顔をした。
「おめでとう。良かったな。クリス」
「ああ、うん。ありがとう兄さん」
俺がちゃんとクリスにって言ったのに、
「お前が最初断るから悪いんだからな」
愚痴ってもいいか?
「え?」
どうして驚いた顔をするんだ?
「あ」
そう、あの時の事だよ。
「ごめん」
賢い弟は悟ったらしい。
いいんだよ。って、きょろきょろするリサには解らないよう返事する。
家族だけの式は二人の性格もあってかとても質素だ。ひとり離れた場所にいるヨシュアを見、そこに行って様子を見ると不満そうな顔をしていた。
「どうした?」
「クリスが、今日は近づくなって」
おいおい、婿の家族だぞ。容赦無いなクリス。
「お前がリサの婚約者だったことは誰もが知ってるから、挨拶は町を出る時でいい、って」
うん、そうか、禍根の無い事と彼女とヨシュアが何でもない事はその場で証明すればいいから、今日の家族だけのメデタキ結婚式にお前は邪魔だって・・・ことだな。
ヨシュアが近づけば前の馬鹿げた婚約の事も話題に上がるかもしれないもんな、笑い話に・・・それも嫌かクリスよ。
「諦めろヨシュア。お前どうせリサの事が好きなわけじゃないんだろ?」
「好きだろ!」
「は?」
おい弟何を言い出す。
「友達じゃんか、」
・・・・ヨシュア。お前、そういう残念な所がアイツに嫌がられんだよ。
「今日の主役はクリスとリサだからな。元婚約者は引っ込んでろ。」
「友達として祝うのも無しかよ・・。」
真摯な目で見てもだめだぞ。
「祝いたいならお前もさっさと玉砕しろ」
「ぎ玉砕前提かっ!?」
ヨシュアが誰か決まった相手が居ればこの場でも祝いを受け入れただろうなクリスもと、思うのだ。
ああ、そう言えば。クリスに先を越されてしまったな。俺はまず恋人が欲しい。