婚約とはなんぞや
今年もよろしくお願いいたします。
微妙な長さになったので連載にしました。
一般庶民にも関わらず、リサには婚約者がいる。
同い年の彼はお隣りさんの三男だ。仲良くなった父同士が
『家には男の子がいないから欲しいな』
『そうか、やるよどれがいい?』
って決まった。らしい。
彼とリサが十歳の時だ。
二人は婚約者と決まった時、ヨシュアはよく解っていなかったと思う。
友達。に『婚約者の名称』が増えた程度の認識だったろう。容姿は子供の頃から整っていて、賢げなヨシュアだったが、ただの悪がきだったのだ。
リサの家と隣の家。
引っ越して来たのは我が家の方だったが、隣のおばさんと家の母さんは意気投合した。
丁度二人とも子供がお腹にいて、出産も同じ時期。
あっちの家は既に長男と次男がいてベテランの主婦で、母は初産だったから、心強かったろうと思う。
先に産気づいたのは母。
産まれた女の子はリサと名付けられ、暫くお隣の家に預けられた。
数日遅れて男児を産んだおばさんと違って、リサの母は産後の肥立ちが良く無くて病院から帰れなかったのだ。
思えばそれが婚約に至る前振りだったのだろうか。
リサの婚約者はその時の男の子。ヨシュアだ。