〜はじまり〜
ーそう、今日から私は天使。
「エリザ、ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だよ、いってきます」
心配そうに私を見送る親友のイザベラを背に
私はある目的を持ち第六天ゼブルへ向かった。
ここは天使界、人間を守り導く天使たちが集う場所。
第一天シャマインは天から降るもの(天気)をコントロールしている。第二天ラキアでは堕天使が囚われている。第三天シェハキムの南に私たちは住んでいる。
第四天マコノムにはあのエデンの園がある。第五天マテイはグレゴリ(天使界を追放された一団)がいる。第六天ゼブルには大天使が住んでいて、そこで天使の指導を行っている。
これが私たちの住む天使界だ。
<第六天ゼブルにある養成所>
大天使「ここに集った者よ、誇りを持て、君たちは
今日から立派な天使だ!」
ー天使界に住む者は自らの意思で天使になれる。私には兄を救うという目的がある。そのためには強くなる必要がある。そう、堕天使になった兄を救うためには…。
天使には人間界での任務が多く経験が少ないため二人一組となって任務にあたることが決まりである。そこに師匠が付くという。
???「俺はジョナ、よろしくな!」
そこには、さわやかな笑顔を浮かべた青年がいた。
これが、私のペアになる天使だ。
「私はエリザ、よろしく」
ジョナ「エリザはなんで天使になったんだ?」
エリザ「…、なんとなく、かな」
「ジョナはどうして天使に?」
ジョナ「俺さ、熾天使にルーシーっていう兄貴がいる
んだ、それで俺も兄貴みたいになりたいって
思ってさ!」
エリザ「熾天使なんてとても優秀なのね」
ー天使は9つの階級に分かれている。上級三隊のトップ熾天使は神に最も近い天使である。次の智天使はエデンの園の守護をしている。そして座天使は正義と公正の天使。中級三隊のトップ主天使は神の支配を目的としている。力天使は地上の奇跡を司る。能天使は最前線で悪魔と戦う。下級三隊のトップ権天使は地上の支配を行う。大天使は階級は低いが最高の権力と能力を持っている。天使は人間を正しい道に導いている。
エリザ「熾天使のルーシー…」
ジョナ「どうした?」
エリザ「もしかして、ルーシーって、銀髪で髪が長く
ていつも笑ってるあのルーシー…?」
ジョナ「あぁ!そうだぜ!なんだ知りあいなのか?」
<回想>
子供達「お前の兄貴堕天使なんだろ!」
エリザ「兄さんをバカにするな!」
ルーシー「何してるのかな?」
子供達「やべぇ、逃げるぞ!」
いじめられていた私を助けてくれたのがルーシーだった。
ルーシー「大丈夫?」
エリザ「…うん」
ルーシー「お兄さんは堕天使なのかい?」
エリザ「そうだ、お前も兄さんをバカにするのか」
ルーシー「しないさ、僕はルークの、君のお兄さんの
友達さ」
エリザ(驚いた表情をしている)
ルーシー「ルークからよく君の話を聞いていたよ。
自慢の妹だってさ。あいつ君の話になると
すごく嬉しそうに話をするんだ。…僕に名
前を教えてくれる?」
エリザ「エリザ…」
ルーシー「エリザ、僕はルークの代わりになれない。
けど辛かったら僕を頼ればいい。」
ーこのルーシーの言葉で私は救われた。ルーシーとは定期的に話をしたりしていたが能力が高いため階級がどんどん上がっていき話をする機会も減ってしまったのだ。
ジョナ「エリザ?」
エリザ「あ、ごめん。ルーシーとは知り合い。」
???「おい、お前達。名前はなんと言う?」
長い髪をひとつまとめ美人だが少し顔だちのキツい女性が立っていた。
エリザ「エリザといいます」
ジョナ「俺はジョナって言います。あなたは?」
???「ザグザゲル。お前達の上官だ。」
エリザとジョナは驚いた。
ジョナ「よろしくお願いしまーす!」
エリザ「よろしくお願いします!」
ザグザゲル「私は厳しいぞ。覚悟しておけ」
「お前達にひとつ報告がある。今、能力が
ある能天使が必要だ。そこで天使の中で
よい成績を残した上位2組が選ばれ、さ
らにその2組には少し特殊なテストを受
けてもらう。そしてそこで成績の良かっ
た1組は能天使に昇格できる。そうだ。
まぁ、まずは目の前にある任務をこなす
ことに集中しろ。大きな目標ばかり見て
いては足元を救われるぞ。私からは以上
だ。」
そういうと、師匠はあっという間にこの場を立ち去ってしまった。
この昇格のチャンス絶対に逃したくない。早く能天使になって兄さんを助けないと…。
こうして私の天使としての日々は始まったのだった。