ネバーランドは見つからない
生きる時間が違うということ。
違う生き物だって分かってるのに、それでも愛してしまうのは何故?
生き物の生きる時間が違うのは何故?
ああねえ神様って。こんな時ばかり神様の存在を持ちだして、自分勝手に批判する。
馬鹿らしいって自分でも思うけど。
隙さえあれば神様に祈ってる。
「私を彼と同じにしてください」って。
昔はね、種の違いなんて関係ないと思ってたの。生きる時間が違うのがなんだって。
それの重要さが分からないくらい愚かだったの。若かったの。
一緒に生きて時間を積み重ねられるのなら問題ないって思ってた。
今思い出すと鼻で笑ってしまうけど。
生きる時間が違うのに、時間を積み重ねる?
彼にとって陽が昇り落ちるのが、例えば時計の長針が一周するだけの意味しか持たなくても?
馬鹿ね、そもそもの時間の意味が違うのに、同じように積み重ねることが出来るはずないじゃない。
共に居れば居るほど、あなたを愛しく思うのに。
時を経てあなたへの愛が嵩むほど、あなたは遠くに居るように思えてしまう。
私と彼は違うのだって痛感してしまう。
それでも愛してしまうのは、私が愚かだからだろうか。
ならいっそ、もっと愚かであったなら。あの頃の私のように、今も何も考えずにただ愛せていた?
例えばよ、例えば。
自分で分かりやすいように、私が分かる範囲の中で考えると、私が蜉蝣で、彼が人間で。
わずかな時間に愛を育んでも、だからどうなるっていうの?
想像しただけで、虚しくなるの。
あなたのそばで私は急激に老いていなくなるのね。
それってやっぱり女として考えるだけでも複雑なの。
出来るだけ美しくあなたの隣に在りたいの。
出来ることなら一緒に歳をとりたいの。夢物語ね。
この愛に、幸せな未来が訪れることなんてない。
そうなんだろうなって受け入れている。前は認めることも出来なかったのに。
愛が高尚なものなら。
この愛が私を救ってくれないだろうか。
愛してるのに愛されてるのにあなたが遠い。