カラーペン
カラーペン
高校三年生、卒業式が終わった後に教室の掃除をしていたときのことです。
いつの間にか皆は帰ってしまい、教室には自分しかいなくなっていました。
からっぽのような教室に残された、自分の荷物を入れる箱を手に取りました。その箱をひっくり返すと・・・。
カランッ
なにかが落ちる音がしました。ふと足下を見てみると、水色のカラーペンと一枚の手紙がありました。
カラーペンについていた名前のシールを見てみると、『仰木野 義人』と書いてあります。
「あっ、お兄ちゃんのカラーペン」
誰もいない教室に、自分の声が響きました。
ふと記憶がよみがえりました。兄が、文化祭のときにカラーペンを使うと言って、小学生のころのカラーペンを学校に持って行ったということです。
それから、手紙を読みました。宛て名は、書いてありませんでした。『掃除をしているときに見つけました。きっと、お兄さんのですよね』と、書かれていました。
私の兄がこの高校を卒業したのは、五年前です。
さすがの私も、兄の物があったなんて驚きでいっぱいです。
「おーい、仰木野まだいたのか?早く帰るんだぞ」
「今帰りまーす」
担任の先生が教室に来たのでかえることにしました。
そして、私は自分が座っていた席にこんな手紙をいれておきました。『私は、卒業式の日に五年前に卒業した兄のカラーペンを見つけました。誰かが見つけたのです。今ここに座っているあなたにも、こんなすてきなことがありますように』
「カラーペン」楽しんでもらえたでしょうか。
実はこの話、少々自身の実話がはいっていまして、学校で兄のカラーペンが見つかるというのは本当の話でして、話を書きたい!という思いでかきました。
もしよろしければ、コメントよろしくお願いします。