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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第九章】彼は私の×××
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彼の様子

「お疲れ」

19時過ぎ、別室での仕事が片付いて会議室の後片付けをしていると、声をかけられた。


顔を上げると、春田くんがドアに寄り掛かるようにして立っていた。私は昨日のこともあり、目をそらして応える。

「…お疲れさま」


「ゆりも今日終わりだろ?飲みでも行かない?」


春田くんはいつも通りの様子で、軽いノリで私を誘う。


「あ…ごめん。今日は、ちょっと…。」

泉が来る予定だから、とは言えなかった。

でもぎこちなく言葉を濁した私の態度に、春田くんは何かを感じ取ったようだった。


「っそ。じゃあまた明日な」


「うん、じゃあ…」

素っ気なく挨拶して、春田くんは帰っていった。






「もしもし?泉、今どこ?」

会社を出ると、20時前になっていた。

私はすぐに、待たせている泉に連絡をする。


『ゆりさん、もう終わったんですか?』

すぐに電話に出た泉が、驚いたように言った。


「うん、今日からは少し早く帰れそう」

(だから、今週は泉と過ごす時間もあるはず)

そう考えたら、先ほどの気まずい気持ちが薄れた。


『ゆりさん、今どこですか?』


「え?会社出たとこだけど?」


『迎えにいきます、すぐ近くにいるので』


「あ、そうなんだ?分かった」


泉にそう言われて、私は会社の前で待つことにした。

(わ…どうしよう…)

…昨日の朝、プロポーズされたことを思い出したらドキドキしてきた。


春田くんのこともあって、私の心はざわついていた。


私は泉が好き。泉も私を好きだと言ってくれる。

お互いが、お互いを想っていることの奇跡。


―――その奇跡は、“永遠”に続くもの?

今度こそ、信じてもいい?


泉は私を大切にしてくれる。そんなことは分かってる。でも…――――。


『なんで俺じゃダメなんだよ…っ』

ふと昨日の春田くんの言葉を思い出して、胸が締め付けられる。



私が好きなのは、泉だけど…――――。


でも、こんな気持ちのまま、結婚なんて…――――。



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