熱
昼ごはんを食べた私たちは、天気も良いので外に出かけることにした。
だけど、泉と手を繋いでから、私は気になっていたことがあった。
繋いでいた手の体温が、いつもより熱く感じたのだ。
「ねぇ、ちょっと待って…」
私が立ち止まると、泉が心配そうに顔を覗き込む。
「ゆりさん?」
私は覗き込まれたところに手を伸ばして泉のおでこの体温と自分のおでことを比べてみる。
「やっぱり…」
比べる必要がないくらい、泉の額から高熱を感じた。
私は泉をまっすぐ見上げて、怒る。
「どうして言わないの?熱あるじゃない」
「え、熱ですか?ーーーすみません…気が付かなくて。」
(なんでこんなにマイペースなのよ!)
―――私は泉の手を引いて、家へと引き返す。
家に着くと、寝室のベッドに泉を寝かせる。熱を測ると38℃だった。
「今日は病院も救急しかやっていないし、とりあえず市販の薬買いに行くわ。他に欲しいものある?」
ベッドに横になったら少しは自覚したのか、泉は大人しく肩まで布団をかぶる。
「大丈夫です、寝てれば下がります」
呑気に微笑んでいる泉に、私はいらっとした。
「泉が良くても、私が良くないのよ…っ」
こんなときにまで、私は頼ってもらえない。
私はいつも、してもらってばかりで…――――。
そんな寂しさを抱えながら、とりあえず私は近所のドラッグストアへと向かった。




