暖かい時間
日曜日の朝、私は隣に愛おしい人が寄り添っている温もりに幸せを感じながら目を覚ます。
「おはようございます、ゆりさん」
昨日、ソファーで眠ってしまった私を寝室まで運んでくれたのか、目が覚めたら寝室のベッドの上だった。
同じ布団の中に泉が横になって、微笑んで私を見つめている。
「おはよう…」
私は今更ながら少し恥ずかしくなって目をそらす。
「ゆりさん、身体大丈夫ですか?」
「へっ?」
泉が私の裸のままの身体に、優しく触れる。なのに私は驚いて色気のない声を出してしまった。
「昨日…疲れてたのに無理に抱いてしまったから…」
苦笑いで、泉がそう言うから、私は切なくなる。
(―――…無理に?違うよ私が望んだの。)
それを口に出すの恥ずかしくて、私は代わりに泉の方に向き直ってぎゅっと抱き締めた。泉の体温が少し熱っぽく感じた。
「昨日のゆりさん、すごく可愛らしかったです…」
昨日の私…ーーーー。
『キス、してもいい?』
『好きだよ、泉…っ』
思い返して、ボボボボ…っと顔に熱が集中する。
(そうだ私昨日…、かなり恥ずかしい言動してたわーーー…)
「それでつい、抑えがきかなくなってしまって…」
泉が申し訳なさそうに言う。
「今日は、気を付けます。」
「え?」
(今日は、しないってこと?)
「ゆりさん、明日からまた仕事忙しいですよね?」
「―――そうだけど…」
(だから、何なのよ。今日はシないってこと?)
「とりあえず、昼ご飯にしますか?」
「え、昼ご飯?」
「はい。…――もうすぐ12時ですから」
泉がクスッと笑って壁に掛かっている時計を指差した。
(うそ…私さっきまで熟睡してたんだ…?)
自分がかなりの時間眠っていたことに気が付く。
「ごめん…」
(私が起きるまで、ずっと待ってたのね…)
「ゆりさん、謝らないで…?」
泉がそう言うと起き上がる前に、そっと額にキスをした。
(あぁ、そうだよね…ーーーこの場合は謝るんじゃなくて…―――)
「ありがと」
私が言い直すと、泉は嬉しそうに微笑んでくれた。




