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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第七章】遠距離中の近距離
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修羅場?

パタンとドアが閉まると胸騒ぎがした。

(泉は、春田くんの後を追いかけて…どうするつもりなの?)



「春田と何話してたのー?」

玄関先に立ち尽くしていた私は陽子の声で我に返る。


「…なにって……」

(それ、言えるわけないよ…)


「知ってるわよ?昨日のことなら」

平然とした顔で陽子が言う。

「えっ、なんで?」

まさか知ってるとは思わず、私は驚いて聞いてしまう。


「春田から聞いた。ちょーど吹成くんに見られて、一気に修羅場と化したんだってね?」


(修羅場…そっか、あれが“修羅場”…――――)

変な感心をしながら、私は事情を知ってるならと陽子に愚痴る。


「春田くんて、酔っぱらうとタチ悪いよね…冗談でキスとか」


「そう?それよりさ、」

私の愚痴を軽く流す陽子に、私は肩透かしを食う。

(えー、ちょっと…。せめて、同意ぐらいして欲しかったわ…)

そんなことを思いながら、陽子の話を聞く。


「…吹成くんって、あれ()なの?」


「え?うん」

いったい買い出しのときに泉と何を話したのか、陽子が悔しそうに言う。

どうしたんだろう突然、と思いながらも、私は聞かれたことに素直に答える。


「噂通り、かなりの爽やかイケメンだったし。優しいし礼儀正しいし、料理は上手だし。何でもそつなくこなせる男って完璧すぎて、逆に怖くない?」


「―――…なんで?」

(“怖い”?泉が?)


「ただ、ゆりがもう傷付いたりしないといいけどなーと思ってさ」


(傷付く?私が?)


「あーいう男って、他にも女いてもおかしくないし?遠距離なら尚更。」


「あり得ないよ、泉はそんなやつじゃない。」

陽子の言葉に、私はすぐに反応した。

―――…だって、あり得ないから。


「そっか。じゃあうまくいくと良いね」

陽子がそう言いながら玄関へと向かうと靴を履き始めた。


「え、陽子?帰るの?」

引き留める訳じゃないけど、驚いて声をかける。


「だって、春田も帰っちゃったし。噂の彼氏にも会えたし、さすがにこれからの時間、カップルの邪魔はしたくないからさ。―――ビール、あげる。吹成くんと飲んで」

そう言うと、陽子はヒラヒラっと手を振って出ていった。


「あ…ありがと。気を付けて帰ってね?」


私がそう言い終わる前に、すでに玄関から陽子は居なくなっていた。

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