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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第七章】遠距離中の近距離
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春田くんが、言うには

慌ただしく出ていった泉と陽子を見ながら、部屋に残った私と春田くんに微妙な空気が流れる。


「………」

「………」



『昨日はキスしてごめん。でもふざけてないから。本気だから。』


先程送られてきたlineの文章を、送ってきた本人が目の前にいる。私は、春田くんの方を向いて勇気を出すことにした。


「あの…春田くん」

話し掛けるのもぎこちなくて、目も合わせられなかった。

「line…見たよ」


「あぁ…」

私の言葉に、春田くんは素っ気ない返事をする。


「本気って、“あれ”…「バーカ冗談だよ」」

私が緊張しながら、どういう意味か聞く前に、春田くんからそれは告げられた。


「えっ?」

(―――冗談?どれが?キスが?“本気”って言葉が?)



「からかっただけ。ゆりって見かけによらず初心(ウブ)だからさ」

戸惑う私に、春田くんが笑って言う。


(なんだ…冗談か…ーーー)

「…本当ひどいよ、もう絶対やめてよね」


冗談だと聞いた瞬間、ホッとしながら私はそう返した。


彼とは仕事のパートナーだし、あの時は酔っぱらっていたし、今後のことを考えたら“冗談”だから“犬に噛まれた”と思うことで流すことが一番最善だと思った。


「でも、まさか彼氏が見てたとはなー。」

(えっ?)

驚いて春田くんの方を向くと、今日初めて彼と目があった。


「俺、完全に悪い奴だよな―。」


目があった瞬間、春田くんは私から目をそらしてそうぼやいた。


「うん。最悪!!」

「ひでーな…」

私が物凄く感情を込めて即答すると、目を合わせないまま春田くんが何か呟いた。


「え?」


「…俺のせいで、彼氏と喧嘩した?」


そう聞かれた時、私はドキリとした。

「なんで?」

誤魔化すように半笑いでそう聞き返しながら、春田くんを見ると、今度は私をじっと見つめていた。


「別に?してたら面白れーのになと思っただけ」

いつもヘラヘラしてる春田くんが真顔で言うと、私の口を親指と人差し指でつまむ。


「ひゃるたきゅんっ?」

(ちょっとー、全く反省してないよこの人!)


なぜかタコみたいな口にされて、すぐに私が春田くんの手を払い除けると同時に、


「ただいまー!」

と陽子の声が玄関からした。


(あ、帰ってきた!!)

私は二人きりから解放されて、ホッとして玄関へと向かった。


「おかえり」

笑顔で出迎えた私を、泉は無言で抱き締めた。

「い…、泉?」

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