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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第七章】遠距離中の近距離
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映画鑑賞なんてしてなかった

数ヵ月前に話題になっていたサスペンス映画を見ていた。

洋画を、英語の音声と日本語の字幕に設定して。

だからというわけではないけど、英語を聴いているうちに私はいつの間にか夢の中で映画の続きを観ていた。




「――――あぁ…寝ちゃった…ごめん」

意識を取り戻すとすぐに、目を擦りながら私は泉に謝った。


映画は終わってしまったらしく、一番はじめのメニュー画面のままになっていて、同じBGMがリピートされていた。

身体を起こそうとして初めて、私はソファーに横になっていて、気付けばブランケットが肩まで掛けてあったことに気が付く。


「…泉?」

隣で一緒に観ていたはずの泉が居なくて、私は呼び掛けた。

そんなに広くない一人暮らしのアパートだから、どこにいても聴こえるはずだった。

でも、シーンとした部屋からは、泉の返事も、気配もなかった。


「居ない…」

(どこに行ったんだろ…?)


私は携帯電話にメールでも来ていないかとチェックする。

すると、lineが届いていた。

でも…――――それは泉からではなく、春田くんからだった。


『昨日はキスしてごめん。でもふざけてないから。本気だから。』


私はその文章を読んで、眠気が一気に覚めた。

(“本気だから”?本気って…ーーーそれって…)


「あ、起きたんですか?」

私が春田くんの言葉の意味(こたえ)を出そうとしていた時、

泉が玄関の方から買い物袋を持ってリビングに入ってきた。

私が寝ていると思って、音を立てずに玄関の鍵を開けたのだろう。

私は驚きのあまりビクッとして、手から携帯電話を落とす。


「驚かせてすみません、大丈夫ですか?」

私の反応に、泉が笑って言う。


「買い出ししてきました。今日は鍋でもしようかと」

買い物袋を軽く持ち上げながら、泉がキッチンへと向かう。


「…ありがとう」

すぐに携帯電話を拾うと、私は笑顔で言う。ドキドキした。

焦っている方の、動悸。


「私も手伝うよ」

キッチンへと向かうと、泉がすぐに私をリビングへと連れ戻す。


「今日は一日、のんびりしてください。せっかくの休日なんだから」


「…―――ありがとう」

私はそう言いながら、頭の中では春田くんのが送ってきた文章について考えていた。


(“本気だから”?それは…ーーー私のことを好きってこと?

)


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