休日デート
「?」
ふと目が開いた私は寝室のベッドから降りて、リビングに向かう。その途中で、私は自分の服が昨日と同じであることに気づいた。
(あれ?私、昨日…ーーーどうしたんだっけ?)
私は昨晩の、思い出せる記憶を辿る。
「あ…」
泉が冷たくて、心がズタズタになって…ーーー。
今まで支えていた部分が切れたかのように、その場に倒れたんだ…。
思い出したら、また同じ痛みが胸を苦しめた。
―――自分がどうやって帰ったのか覚えてない。
でもベッドで寝ていたということは、やっぱり泉が運んでくれたってことだよねーー?
「おはようございます、ゆりさん」
ソファーで優雅にコーヒーを飲んでいた泉が、
私に気付いてコーヒーをテーブルに置くと立ち上がった。
「…おはよう」
気まずくて目を泳がせる私に、泉が歩み寄ると、
「昨日はすみませんでした」
と、即座に謝ってきたので驚いた。
「私の方こそ…「いえ、ゆりさんは何にも悪くないんです」
「いや、怒って当然だ…よ」
最後の「よ」を言う前に、泉が私を抱き締めた。
「余裕なくてすみません…」
私の肩に顎を乗せて、泉が言う。泉が今どんな表情をしてるのか分からない。
「泉?」
私はそっと泉の背中に手を回す。
(私、…嫌われてない?…あきられてない?)
「今日は一日、家でのんびりしませんか?」
抱き合ったまま、泉が言った。
「でもせっかくの休日なのに…」
(泉、ずっと家にいるし…本当はどこか出掛けたいんじゃないかな…)
「家で、貴女を独占したい気分なので」
私の顔を見て、泉がニコリと笑顔で言う。
(泉のことだから、仕事で疲れてる私のために、そういう言い方してくれてるんだよね?)
「――――じゃあ、…お言葉に甘えて」
私が素直に頷くと、泉が嬉しそうに微笑んで言った。
「映画、何本か借りてきたんです。見ませんか?」
「うん」




