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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第六章】葛藤と格闘
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新しい環境

「今日から総務部に異動してきました、春田慎一郎です。」

よろしくお願いします、と頭を下げた春田くんに拍手が起こる。


総務部のフロアー。

今日から10月1日付けで、春田くんが正式に異動してきた。


「春田くんには、来月から産休に入る木咲さんの海外人事の業務を、夏海さんと二人で担当していただきます」


部長が総務部のみんなの前で、発表する。私は昨日聞いたばかりなのにすでに皆知っていたかのようで、特に驚いたような反応はなかった。





やっと木咲さんからの引き継ぎ、というより引き継ぎを始める前の基礎知識の話が少し終わったところで、昼休みになった。

パンクしそうな頭を持ち上げて、私は自分の席につくと泉が作って持たせてくれたお弁当を取り出す。


「大丈夫?」

陽子が心配そうに声をかけてくれた。


「海外人事って、かなりの激務らしいじゃん」


木咲さんが残業しているのを、頻繁に見かけていたから私も激務なのは分かってた。

実際ここまで大変だと、自分の無力さが嫌になる。


「しかも、自分の通常業務、まだ何も手つけてないよね?今日から暫く残業確定じゃん…」


陽子の言葉が、自分の頭の上に岩になって落ちてくる。


(せっかくあと五日間、泉がこっちにいるのにっ)


私が項垂れていると、


「ゆり、大丈夫か?」

春田くんもコンビニ弁当を持って、空いていた近くの席に座った。


「うん…なんとか…」

全然大丈夫じゃなかったけど、私は心配かけまいと笑顔を作る。


「今日から暫く残業確定なのよ、ゆり。可哀想に」

陽子が春田くんに説明すると、同情したように春田くんが言う。

「マジか。俺に手伝えることあったら、やるから声かけてよ」


「ありがと、でも私の仕事だから」


(やるしかない…)

目の前の書類の山を見ながら、私はお弁当を早めに食べ終えた。


(早く終わって、早く帰りたいから。)


泉の待つ家に帰る瞬間を思いながら、私は午後も懸命に仕事した。

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